埼玉新聞

 

あすから時速30キロに…生活道路での上限、大幅に引き下げ 改正道交法施行令、9月1日施行 きっかけは園児4人が死亡した川口の交通事故 小学校に隣接する生活道路も抜け道に…「今すれ違った車も速かった」

  • 小学校に隣接した法定速度の上限が60キロから30キロに引き下げられる中央線のない生活道路

    小学校に隣接した法定速度の上限が60キロから30キロに引き下げられる中央線のない生活道路=28日午前、鴻巣市神明3丁目

  • 小学校に隣接した法定速度の上限が60キロから30キロに引き下げられる中央線のない生活道路

 住宅街などにある中央線や中央分離帯のない「生活道路」における車の法定速度の上限が60キロから30キロに大幅に引き下げられる改正道交法施行令が、9月1日に施行される。生活道路は日常生活で利用される道幅の狭い一般道路で、全国の約7割が該当する。スピードを抑制することによる歩行者らの事故防止が目的で、川口市内で園児4人が死亡した交通事故をきっかけに、速度規制が進められてきた。県警は周知を図るとともに、ドライバーに時速30キロを意識した運転の周知に取り組んでいる。

 今回の改正で30キロに引き下げられるのは、中央線や中央分離帯のない狭い道路。中央線の設置目安となる道幅5・5メートル未満の道路が主な対象となる。中央線や植栽、柵などで車線が分離されている一般道路は引き続き時速60キロのまま。道路標識や標示で「40キロ」「20キロ」と最高速度が指定されている道路では、それに従った速度となる。

 県警交通規制課によると、生活道路に明確な定義はなく、中央線の有無が判断基準になる。生活道路は買い物や通勤通学などで、地域住民が日常的に利用し、抜け道として走行する車も多い。同課は「生活道路が住宅街に多く、建物で交差点などがよく見えず、運転手は歩行者に気付きづらい」と危険性を訴える。

 警察庁の資料によると、車が時速20~30キロで歩行者と衝突した場合、歩行者の致死率は0・9%だが、時速30~40キロだと約3%、時速50~60キロだと約17%と高くなる。同課は、時速30キロを超過すると歩行者の死亡リスクが急上昇し、重大事故になる確率が高くなるとして、「スピードが出るほど、歩行者の飛び出しにブレーキが間に合わなくなる」と指摘した。

 2006年9月、川口市の生活道路で散歩中の保育園児らの列に車が突っ込み、園児4人が死亡、17人が重軽傷を負う事故が発生。事故をきっかけに、全国で通学路などを一定範囲の生活道路で時速30キロに規制する「ゾーン30」が進められてきた。同課は「今回の引き下げでゾーン30が進められていなかった生活道路をまとめて、時速30キロに規制し、安全によりつなげていきたい」と話した。

 県警によると、生活道路の多くが含まれる道幅5・5メートル未満の道路で発生した県内の死亡事故は今年1~7月で、前年比3件減の9件。人身事故は死亡事故を含めて、同188件増の2173件で、交通事故は増加傾向にある。車の主な事故原因は前方不注視など安全不確認によるものが最も多いという。同課は「時速30キロを意識しながら前をよく見て運転してほしい。今まで以上に基本に忠実な運転を」と呼びかけている。

■児童へ交通指導徹底

 法定速度が30キロとなる生活道路は、子どもたちの通学路に多く存在する。鴻巣市神明3丁目の市立鴻巣北小学校(児童数423人)の周りは、中央線のない狭い道路や時速30キロ規制の道路が通学路に指定されている。同校の田川豊校長によると、抜け道として利用されることから、スピードを出して走行する車もよく通るという。

 同校は、規制が始まる9月1日に全校児童に今回の法定速度引き下げについて説明する。田川校長は「気を緩めず、道への飛び出しや1列で歩くなど普段の交通指導をより徹底していきたい」。ドライバーに対しては「車は簡単に人の命を奪えると強く認識し、急いでいても時速30キロを守ってほしいと心から思う」と呼びかけた。

 同校に隣接する生活道路を歩いていた近所の70代女性は「今すれ違った車もスピードが速かった。通学路なので子どもの飛び出しなどがあったら危ない」と指摘。「時速30キロになり、もっと低速度で走る車が増えて安全につながれば」と話していた。

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