埼玉新聞

 

〈連載〉どうする中高生のスマホ依存・後編 依存に悩む親子の向き合い方は 「睡眠と心のクリニック」合田廷大院長インタビュー

  • 睡眠と心のクリニックの合田廷大院長

    睡眠と心のクリニックの合田廷大院長

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 近年、問題になっている子どもたちの間での「スマホ依存」。夏休みも終盤を迎え、子どもたちがスマホに触れる時間が増える中、保護者は依存傾向にある子どもたちとどのように向き合うべきなのか。「睡眠と心のクリニック」(埼玉県さいたま市中央区下落合)で院長を務める、心療内科医・合田廷大氏(35)にインタビューを行った。

―「睡眠と心のクリニック」では、どのような治療方針をとっていますか。
当院では、スマホを取り上げることだけを治療とは考えていません。まず、スマホの使用状況に加えて、睡眠、生活リズム、学校生活、家族関係、不安や抑うつ、発達特性などを総合的に評価します。

治療の第一歩として特に重視しているのが、睡眠と生活リズムの立て直しです。
スマホの総使用時間を急にゼロにするのではなく、まずは就寝前の使用を減らしたり、スマホを寝室の外で充電したり、実行可能な目標を本人やご家族と一緒に設定します。当院では、「スマホをやめさせること」ではなく、スマホがなくても安心して眠り、学校や家庭で自分らしく生活できる状態を取り戻すことを治療の目標としています。

―スマホ依存の子どもへ、親はどのように向き合うべきなのでしょうか。
保護者の方が心配になり、「今すぐやめなさい」「スマホを取り上げる」と強く言いたくなるのは自然なことです。しかし、一方的に取り上げるだけでは、強い反発や隠れて使用する行動につながり、親子関係が悪化する場合があります。

まず大切なのは、使用時間を責める前に、子どもがスマホで何をしているのか、どのような気持ちで使っているのかを聞くことです。「最近、学校や友達のことでつらいことはない?」、「やめようと思ってもやめられないのは、どんなとき?」と尋ねることで、背景にある不安や孤独、学校での困りごとが見えてくることがあります。

ルールを決める際には、保護者だけで決めるのではなく、本人と相談することが重要です。最初から厳しい制限を設けるよりも、守れるルールから始めます。また、子どもだけに制限を求めながら、保護者が常にスマホを見ている状態では、納得を得ることは難しくなります。家族全体でスマホから離れる時間を作り、大人が見本を示すことも大切です。できていない点ばかりを指摘するのではなく、「昨日より30分早くやめられたね」など、小さな変化を認めることが改善につながります。

ただし、昼夜逆転が続いている、学校に行けない、暴言や暴力がある、課金が止められない、食事や入浴をしなくなった、抑うつや自傷、死にたい気持ちがある場合には、家庭だけで解決しようとせず、早めに医療機関へ相談してください。

―最後に、合田院長から啓発のメッセージをお願いします。
スマートフォンは、今の子どもたちにとって、連絡手段であると同時に、学びや友人関係、娯楽を支える身近な道具です。そのため、スマホを使うこと自体を悪いものとして扱う必要はありません。

大切なのは、スマホを使っている時間の長さだけではなく、睡眠や学校生活、家族との時間、本人の心身の健康が守られているかどうかです。子どもがスマホから離れられないとき、そこには「楽しいから」だけではなく、不安、孤独、疲れ、自信のなさ、現実から少し離れたいという気持ちが隠れていることがあります。

まずは叱る前に、その子がスマホを必要としている理由に目を向けてください。そして、家族だけで抱え込まないでください。朝起きられない、夜眠れない、学校に行けない、気分が落ち込むといった変化は、子どもからの大切なサインです。スマホを無理に取り上げるのではなく、スマホに頼らなくても安心して過ごせる時間を少しずつ増やしていくこと。それが、改善に向けた大切な第一歩です。

【睡眠と心のクリニック】埼玉県さいたま市中央区下落合1027「TAIRAYA与野店」の4F。JR京浜東北線の与野駅西口より徒歩3分。診療科目は、心療内科、精神科、内科。休診日は水、日曜日と祝日。診療時間は午前10時~午後1時、午後2時半~午後7時まで(土曜日は午前の診療のみ)。

=埼玉新聞WEB版=

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