シベリア抑留の体験を舞台に 戦後日本を代表する詩人 石原吉郎氏の随筆を脚本化 極寒と飢餓、重労働… 「生きる意味」への問い 埼玉・ふじみ野
戦後日本を代表する詩人の一人で、晩年はふじみ野市(旧上福岡市)に在住していた石原吉郎氏がシベリア抑留の体験を基に表した随筆「望郷と海」をモチーフに脚本化した市民参加型の舞台劇「望郷と海~シベリアから未来へ~」の上演プロジェクトが進められている。演劇と音楽、映像などを通じ、石原氏の詩に潜む「生きることへの問い」を現代によみがらせようと、ふじみ野市文化協会(堀口修一理事長)が取り組む。
同協会は、来年3月の舞台公演をめどに脚本と音楽を制作、演出やメインキャストも決めた。8月に出演俳優のオーディションと石原吉郎氏を知るための企画展を開催するほか、8月2日から9月30日まで、制作費などの資金100万円の協力を求めるクラウドファンディング(CF)を実施する。
石原氏は1915年、静岡県伊豆市(旧土肥村)生まれ。旧満州で終戦を迎えた石原氏は45年から8年間、過酷なシベリア抑留を経験。極寒と飢餓、重労働の中で人間の尊厳を問い直した石原氏は帰国後、その凄惨な体験が周囲には到底理解されないという深い疎外感に直面した。
72年、収容所の体験を声高に語るのではなく、「語ることの不可能性」や深い苦悩を研ぎ澄まされた言葉で表現した随筆「望郷と海」を発表。この随筆で歴程賞を受賞したほか、64年に詩集「サンチョ・パンサの帰郷」でH氏賞を受賞するなど多くの著書を残し、77年に62歳で永眠した。
シベリア抑留という壮絶な体験から紡ぎ出された石原氏の言葉は、不確実な社会に生きる現代人に「生きる意味」を強く問いかけていることから、同協会は石原氏の偉大な足跡を次世代に語り継ぎ、より多くの人に知ってもらおうと、市民型演劇の舞台化プロジェクトを立ち上げた
舞台劇は、令和を生きる主人公の高校生があるきっかけから石原氏の生涯とシベリア抑留の実相に触れ、現代社会での葛藤と戦後日本でシベリア抑留を語ろうとしても理解されなかった石原氏の心情の共通点に苦しみつつも前に進んでいく、過去と現在、未来をつなぐ物語。
舞台劇の公演は、来年3月7日午後2時から、同市大井中央2丁目の文化複合施設「ふじみ野ステラ・ウェスト」ホール、石原吉郎企画展は8月2~12日の午前9時~午後10時(12日は同2時から)、同施設1階ギャラリーで開催する。
オーディションを兼ねたワークショップは8月11、12日の午後2時~同5時、同施設多目的ルームで実施する。募集対象は高校1年生から50歳まで。経験不問。参加費500円。希望者は2日間のいずれかを選ぶ。脚本や演出、メインキャストなど演劇の制作スタッフが講師を務める。
問い合わせは、同協会(電話049・256・9708)へ。











