再審制度改正 証拠の全面的な開示は実現せず 日弁連・鴨志田氏「運用しながら修正を」 冤罪被害者ら国会に要求
再審制度を77年ぶりに見直した改正刑事訴訟法が17日、参院で可決、成立した。検察の不服申し立て(抗告)を原則禁止とし、開示された証拠は目的外使用を禁止とする内容。日弁連再審法改正推進室長の鴨志田祐美弁護士(63)は「改正は意味のあることだが、冤罪(えんざい)被害者の望む法律からはかけ離れている。運用する中で見直していくことが重要」と話す。
■社会的関心
日弁連は1962年から5回にわたり、再審制度の運用改善や法改正の必要性を指摘する意見書を発表してきた。鴨志田弁護士によると、社会的な関心は低く、国会議員にとって「票にも金にもならない」ことから、目立った動きはなかったという。日弁連は2022年に再審法改正実現本部を設置。本部長代行として鴨志田弁護士が選ばれた。
再審制度が世間の耳目を集めたのは23年3月、静岡一家殺害事件の再審開始決定だったと鴨志田弁護士は指摘する。「これが日本で起きていることなのか」と危機感を覚える声が大きくなったという。国会もこの流れに乗り、24年3月、超党派による国会議員連盟が発足。25年5月に抗告の全面禁止、証拠は再審請求人や弁護人への直接開示などを盛り込んだ議員立法案を提出した。
継続審議が続いた今年1月、衆院が解散し、議員立法案は廃案となる。鴨志田弁護士は「議員立法案が成立していれば、この国会で再審制度の議論をしなくて済んだはず」と振り返った。
■異例の展開
今国会では政府提出法案が提出された。当初は抗告を認め、証拠開示を限定的とする内容。自民党議員からも問題視され、法制審議会や自民党法務部会の議論を経て、抗告を原則禁止とする条文が入る異例の展開をたどった。「自民党が頑張った結果。自民党でなければ抗告の原則禁止は勝ち取れなかった」とする。
冤罪被害者らも国会に声を届けた。静岡一家殺害事件で再審無罪となった袴田巌さん(90)の姉ひで子さん(93)は衆院法務委員会に参考人として出席。狭山市で女子高校生が殺害された「狭山事件」で無期懲役の判決を受け、冤罪を訴え続けて亡くなった石川一雄さんの妻早智子さん(79)は、国会前で冤罪被害者に寄り添った法改正を求めた。
狭山事件は第3次再審請求の審理が19年にわたり、裁判長は10人も交代した。鴨志田弁護士は「手続き規定が定まっておらず、裁判長の決定も人によってしまう属人的な状態になっている」と長期審理の原因と指摘。さらに石川一雄さんが被差別部落出身で、偏見から犯人視されたとみられており、「部落差別と冤罪が絡んでいることで判断を避けているのでは」と語る。
国会会期中の今月10日には、福井中3殺害事件で、知人証言の誤りについて、少なくとも検察官6人が把握していたことが、名古屋高検の調査で明らかになった。証拠を開示していれば、早期に再審無罪が決まった可能性も十分考えられると指摘された。
証拠の全面的な開示について、冤罪被害者らは要求し続けたものの、実現しなかった。5年ごとに制度を見直すとされており、鴨志田弁護士は「冤罪被害者には時間がなく、5年は長い。もっと修正していく必要がある」と話した。
再審制度を77年ぶりに見直した改正刑事訴訟法が17日、参院で可決、成立した。検察の不服申し立て(抗告)を原則禁止とし、開示された証拠は目的外使用を禁止とする内容。日弁連再審法改正推進室長の鴨志田祐美弁護士(63)は「改正は意味のあることだが、冤罪(えんざい)被害者の望む法律からはかけ離れている。運用する中で見直していくことが重要」と話す。
■社会的関心
日弁連は1962年から5回にわたり、再審制度の運用改善や法改正の必要性を指摘する意見書を発表してきた。鴨志田弁護士によると、社会的な関心は低く、国会議員にとって「票にも金にもならない」ことから、目立った動きはなかったという。日弁連は2022年に再審法改正実現本部を設置。本部長代行として鴨志田弁護士が選ばれた。
再審制度が世間の耳目を集めたのは23年3月、静岡一家殺害事件の再審開始決定だったと鴨志田弁護士は指摘する。「これが日本で起きていることなのか」と危機感を覚える声が大きくなったという。国会もこの流れに乗り、24年3月、超党派による国会議員連盟が発足。25年5月に抗告の全面禁止、証拠は再審請求人や弁護人への直接開示などを盛り込んだ議員立法案を提出した。
継続審議が続いた今年1月、衆院が解散し、議員立法案は廃案となる。鴨志田弁護士は「議員立法案が成立していれば、この国会で再審制度の議論をしなくて済んだはず」と振り返った。
■異例の展開
今国会では政府提出法案が提出された。当初は抗告を認め、証拠開示を限定的とする内容。自民党議員からも問題視され、法制審議会や自民党法務部会の議論を経て、抗告を原則禁止とする条文が入る異例の展開をたどった。「自民党が頑張った結果。自民党でなければ抗告の原則禁止は勝ち取れなかった」とする。
冤罪被害者らも国会に声を届けた。静岡一家殺害事件で再審無罪となった袴田巌さん(90)の姉ひで子さん(93)は衆院法務委員会に参考人として出席。狭山市で女子高校生が殺害された「狭山事件」で無期懲役の判決を受け、冤罪を訴え続けて亡くなった石川一雄さんの妻早智子さん(79)は、国会前で冤罪被害者に寄り添った法改正を求めた。
狭山事件は第3次再審請求の審理が19年にわたり、裁判長は10人も交代した。鴨志田弁護士は「手続き規定が定まっておらず、裁判長の決定も人によってしまう属人的な状態になっている」と長期審理の原因と指摘。さらに石川一雄さんが被差別部落出身で、偏見から犯人視されたとみられており、「部落差別と冤罪が絡んでいることで判断を避けているのでは」と語る。
国会会期中の今月10日には、福井中3殺害事件で、知人証言の誤りについて、少なくとも検察官6人が把握していたことが、名古屋高検の調査で明らかになった。証拠を開示していれば、早期に再審無罪が決まった可能性も十分考えられると指摘された。
証拠の全面的な開示について、冤罪被害者らは要求し続けたものの、実現しなかった。5年ごとに制度を見直すとされており、鴨志田弁護士は「冤罪被害者には時間がなく、5年は長い。もっと修正していく必要がある」と話した。
再審制度を77年ぶりに見直した改正刑事訴訟法が17日、参院で可決、成立した。検察の不服申し立て(抗告)を原則禁止とし、開示された証拠は目的外使用を禁止とする内容。日弁連再審法改正推進室長の鴨志田祐美弁護士(63)は「改正は意味のあることだが、冤罪(えんざい)被害者の望む法律からはかけ離れている。運用する中で見直していくことが重要」と話す。
■社会的関心
日弁連は1962年から5回にわたり、再審制度の運用改善や法改正の必要性を指摘する意見書を発表してきた。鴨志田弁護士によると、社会的な関心は低く、国会議員にとって「票にも金にもならない」ことから、目立った動きはなかったという。日弁連は2022年に再審法改正実現本部を設置。本部長代行として鴨志田弁護士が選ばれた。
再審制度が世間の耳目を集めたのは23年3月、静岡一家殺害事件の再審開始決定だったと鴨志田弁護士は指摘する。「これが日本で起きていることなのか」と危機感を覚える声が大きくなったという。国会もこの流れに乗り、24年3月、超党派による国会議員連盟が発足。25年5月に抗告の全面禁止、証拠は再審請求人や弁護人への直接開示などを盛り込んだ議員立法案を提出した。
継続審議が続いた今年1月、衆院が解散し、議員立法案は廃案となる。鴨志田弁護士は「議員立法案が成立していれば、この国会で再審制度の議論をしなくて済んだはず」と振り返った。
■異例の展開
今国会では政府提出法案が提出された。当初は抗告を認め、証拠開示を限定的とする内容。自民党議員からも問題視され、法制審議会や自民党法務部会の議論を経て、抗告を原則禁止とする条文が入る異例の展開をたどった。「自民党が頑張った結果。自民党でなければ抗告の原則禁止は勝ち取れなかった」とする。
冤罪被害者らも国会に声を届けた。静岡一家殺害事件で再審無罪となった袴田巌さん(90)の姉ひで子さん(93)は衆院法務委員会に参考人として出席。狭山市で女子高校生が殺害された「狭山事件」で無期懲役の判決を受け、冤罪を訴え続けて亡くなった石川一雄さんの妻早智子さん(79)は、国会前で冤罪被害者に寄り添った法改正を求めた。
狭山事件は第3次再審請求の審理が19年にわたり、裁判長は10人も交代した。鴨志田弁護士は「手続き規定が定まっておらず、裁判長の決定も人によってしまう属人的な状態になっている」と長期審理の原因と指摘。さらに石川一雄さんが被差別部落出身で、偏見から犯人視されたとみられており、「部落差別と冤罪が絡んでいることで判断を避けているのでは」と語る。
国会会期中の今月10日には、福井中3殺害事件で、知人証言の誤りについて、少なくとも検察官6人が把握していたことが、名古屋高検の調査で明らかになった。証拠を開示していれば、早期に再審無罪が決まった可能性も十分考えられると指摘された。
証拠の全面的な開示について、冤罪被害者らは要求し続けたものの、実現しなかった。5年ごとに制度を見直すとされており、鴨志田弁護士は「冤罪被害者には時間がなく、5年は長い。もっと修正していく必要がある」と話した。











