【連載】さいたま市の英語教育 市独自の取り組み 7回連続で全国トップ ペアワークでは盆栽や鉄博を紹介 海外で交流のきっかけに 「将来、グローバル社会で主体的に」
「Good morning! How are you?」
子どもたちの元気なあいさつで、グローバル・スタディ(GS)の授業が始まった。6月中旬、さいたま市立大宮別所小学校(北区)。6年生が取り組むのは「町長として人口を増やすために『理想の町』について考え、アピールする」という単元。「自分の地域にあるものを伝えること」が、この日の目標だ。
■英語でペアワーク
スタートの合図で、児童はペアワークの相手を見つける。
「We have Omiya Bonsai Museum.」
「What can we see?」
制限時間に達するまで、相手を変えながら大宮盆栽美術館や鉄道博物館など地域の名所やその場所でできることを紹介し合った。この単元の最後では、「理想の町」を実現するためのアイデアをグループごとに発表し、最適だと思った提案に投票する。
「ほとんどの児童が単元で学習した英語表現を使って、やりとりできるようになっている」。同小GS科専科の小山友奏教諭(27)は児童の成長をほほ笑みながら見つめる。次の段階は、英語で「言える」から「相手や目的に応じて伝え方を選べる」ようになること。抑揚やジェスチャーなど相手に興味を持ってもらうための工夫も伝えている。
■7回連続全国1位
6月末に文部科学省が公表した「英語教育実施状況調査」。さいたま市は、英検3級相当以上の英語力を身に付けている中学3年生の割合が、7回連続で全国1位になった。その基礎となっているのが、小学1年から中学3年までの9年間を一貫したカリキュラムの下で学ぶ、市独自の英語教育だ。
歌や踊り、ゲームなど体を動かしながら英語に慣れ親しむことから始め、日常会話やコミュニケーション、中学校ではディスカッションやディベートにも挑戦する。取り組みは全国的に注目され、昨年度は延べ18自治体の関係者が視察に訪れた。
最大の特徴は、毎時間の指導案が丁寧に示された独自のカリキュラムで、「ALT(外国語指導助手)との打ち合わせの時間が取れない時も、カリキュラムを通して授業の準備ができる」(市教育委員会の担当者)。現場教諭らによるワーキンググループで検討し、4年に1度のペースで改訂を続ける。直近の改訂では「人口を増やすために」といった動機付けの部分をはっきりと定めたほか、教科書に沿ったコミュニケーション活動ができるように調整した。
「カリキュラムのレベルの高さに驚いた」。他県で5年ほど勤め、同市のALTになったルンバ・エリカさん(30)は感服する。探究の時間に児童が自ら調べてお互いの意見を述べ合う姿が印象的だとして、「子どもたちが解決まで積極的に取り組める。『自主性』を重んじるアプローチができている」と評価する。
■海外で交流深めたい
GSをきっかけに英語を学ぶ楽しさを知り、憧れの海外留学を実現させた生徒も。市立大宮国際中等教育学校4年の清水紗英さん(15)は7月から1年間、南アフリカの都市ケープタウンに留学する。
小学1年から3年間、家庭の都合で国外の日本人学校に通ったが、海外経験の豊富な周りの児童になかなかついていけず「英語が好きではなかった」。帰国後、市立下落合小学校(中央区)で初めてGSの授業を受け、「丁寧な授業で置いて行かれる心配がなく、うれしく感じた」と振り返る。
以降、英語力を高める楽しさを知り、小学5年で英検3級、中学1年で準2級と2級を取得。積み重ねてきた国際教養と英語力を糧に、自らに適した交換留学プログラムを見つけた。「英語力はもちろん、現地での交流を通して人間力を高め、日本以外のキャリア教育の仕組みを学びたい」
留学を目前に控え、目を輝かせる清水さんの姿は、GSが目指す「将来、グローバル社会で主体的に行動し、たくましく豊かに生きる児童生徒の育成」に重なる。
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さいたま市の英語教育の歴史は長く、2005年度に研究指定校で始まった「英会話」の授業までさかのぼる。16年度にGSに移行・教科化された。20年間の歩みや実践、関係者の思いをたどり、これからを展望する。











