直木賞候補「見えるか保己一」 15日に選考会 専門家「素顔の保己一を浮かび上がらせた」 地元本庄関係者ら期待高まる 「全国に知ってもらう機会」
本庄市出身で、叢書(そうしょ)「群書類従」を編さんした全盲の国学者・塙保己一(1746~1821年)を描いた蝉谷めぐ実さんの小説「見えるか保己一」が第175回直木賞候補作に選ばれた。地元では、郷土の偉人を長年、伝え続けてきただけに「全国に知ってもらう機会」と期待が高まる。15日の直木賞選考会を前に、関係者に思いを聞いた。
「こつこつとPRに取り組んできたので、(候補入りは)本当にうれしいし、ありがたい。直木賞を受賞すれば一気に世に知られるきっかけになる。大河ドラマにつながる可能性もある。苦悩の中で偉業を成し遂げた保己一を多くの人に知ってもらいたい」。そう笑顔で語るのは、本庄市の吉田信解市長。市民らが参加し業績を伝える団体「総検校塙保己一先生遺徳顕彰会」の会長も務める。
本庄市では、業績を紹介する「塙保己一記念館」(同市児玉町)を運営するほか、小学3年生から中学3年生の児童生徒は「総合的な学習の時間」で保己一の生き方を学ぶ。市が事務局を務める同会は、毎年9月に顕彰祭を開催。地域では民間主体の保己一を楽しく学ぶイベントなども開かれる。吉田市長は「情報を集め後世に伝えた先駆者。保己一に時代の風が吹いてきているのは事実。(直木賞受賞で)広めていこうという流れがさらに加速すると期待している」と話した。
保己一研究の第一人者で、著書2冊が「見えるか~」の主要参考文献となった元立正大学教授の堺正一さん(82)=川越市=は「作家や郷土史家ら多くの人が保己一を描いてきた」と振り返る。「『偉い人』で終わってしまう伝記が多かったが、『見えるか~』は、独自の視点で素顔の保己一を浮かび上がらせた」と評価する。
ドキュメンタリー映画「共鳴する魂 塙保己一伝」のエグゼクティブプロデューサーの吉野浩さん(63)は「そもそも知名度が低いのがおかしい。直木賞になれば、保己一の名を広く知ってもらう機会になる」と話す。
塙保己一記念館では、6月に候補入りが報じられると、訪れた人から「ニュースを見た」との声も聞かれた。市文化財保護課は「保己一を知る人が増え、顕彰活動の輪も広がれば」と期待を寄せる。











