水田で防災 田んぼダムの貯水機能を利用 越谷で実証実験開始
水田が持つ雨水貯水機能を利用して河川の洪水被害リスクを低減しようと、越谷市では治水対策として「田んぼダム」の実証実験を行っている。2期目となる今年から、農業の効率化を目指しICT(情報通信技術)を活用する「スマート農業」も導入し、システム構築に向けて検証を進めている。
田んぼダムは、台風など大雨が降る際に水田の水を抜き、雨水を水田で貯水することで下流の排水路や河川に流れ込む水量を緩やかにすることができる。河川の急激な水位上昇を抑え、洪水や浸水などの水災害リスクを下げる取り組みで、市は生産者やNTT東日本と連携し、2024年から地域の減災、防災対策として実証実験を開始。田んぼダム化した圃場(ほじょう)とそれ以外で貯蓄した雨水の差分から、貯留効果を確認した。
今年6月から始まった2期目では、水田の雨水貯留能力向上と農作業の効率化による負担軽減を目指し、ICT活用による「スマート田んぼダム」を実施。NTTが設置した水位・水温センサーや給水ゲートの情報が基地局を経由してスマートフォンに送られる。水田に来なくても水位や水温を確認できるほか、これまで手作業で行っていた給水や排水も遠隔操作できるようになった。
水害が予想される台風時などは、生産者の許可を取った上で市の一括操作による排水を行い、田んぼダム機能を強化する。佐藤亜実農業振興課長は「装置を入れることで、より効果が出ることを期待している。取り組みを通じて、身近な田んぼが地域防災につながることを広く理解してもらい、田んぼダムの普及が進んでほしい」と願いを口にした。
田んぼダムに協力するニイザカファームの新坂真之代表(53)は「水管理がしやすくなった。年齢的についていけないところもあるが、若い人たちが一生懸命やってくれれば取り入れていきたい」と話す。効率化による持続可能な農業について「田んぼの規模が大きくなると全部見に行くのは難しい。家でもスマホで水管理ができるのはいいこと」と期待を寄せる。
NTT東日本埼玉南支店ビジネスイノベーション部の倉持玲子まちづくりコーディネート担当課長は「最終的には、いろいろなところで取ってきて集約したデータと越谷市が持つデータを掛け合わせ、政策にひも付けて行くことで地域に貢献したい」と述べた。











