埼玉の学校給食、乳成分不使用パンを拡大へ アレルギー児童増加 「みんなと一緒に食べたい」を形に…全国でも珍しい全域対応進む
埼玉県学校給食会は、児童・生徒の食物アレルギーへの対応として、学校給食用パンの原材料から脱脂粉乳を除いた「乳成分不使用パン」の開発を進めている。2024年度まで2品目だった乳成分不使用パンは、25年度に14品目、26年度に5品目を加え、全22品目のうちチーズパンを除く21品目が乳成分不使用パンとなった。
県内で完全給食などを実施している公立学校を対象に、県が実施している食物アレルギー対応実施状況調査によると、食物アレルギーのある児童生徒数は右肩上がりに推移。06年度の1万4839人(2・5%)から25年度には3万6182人(7・0%)に増加している。
さいたま市立大成小3年の武田陽翔(はると)さん(8)は生後7カ月で牛乳アレルギーを発症した。幼稚園時代には、アレルギーの情報が職員間で共有されておらず、誤って提供されたクリームコロッケを食べてアナフィラキシーショックを起こした。じんましんで全身が赤くなり、ぐったりして立ち上がれなくなるなどの症状に見舞われた。
牛乳が肌に触れるだけでも症状が出るため、職員室で給食を食べていた陽翔さんだったが、「みんなと一緒に給食を食べたい」と強く希望。2年生の3学期からは机を少し離し、透明なプラスチック板で仕切りを設けるなどの対策を講じ、クラスメートと同じ教室で給食を食べられるようになった。
地元食材を積極的に使用する地場産物強化週間だった今月17日、県産大豆を使ったチリコンカン、さいたま市産の小松菜とわかめのサラダ、丸くてやわらかい「こどもパン」がテーブルに並んだ。チリコンカンをつけたパンを頬張った陽翔さんは「みんなと食べられてうれしい」と笑みを浮かべた。
陽翔さんの母・未央さんは乳成分不使用パンの取り組みに対し、「作ろうと思ってくれたことがうれしい」と感謝する。陽翔さんが1年次に在籍していた同市内の小学校では、月の半分は取り寄せた冷凍パンを持参させていたため、金銭的な負担も大きかったという。
同小学校の栄養主任(32)は「アレルギーの程度は十人十色で、必要に応じて情報を共有している。食べられる、食べられないを自分で学んでいく機会でもあることを考えると、ありなしの両方あってほしいが、工場での混入リスクを考えると難しい」と現場視点の思いを語る。
乳成分不使用パンの取り組みを進めているのは、全国で13道府県。品目数では大阪府が23品目と充実しているものの、対応している自治体数は少ない。県学校給食会の古垣玲理事長は「全域をカバーしている埼玉の取り組みは群を抜いている。今後も現場のニーズに応えたい」と話した。










