未来志向の道徳銀行へ、歩みを加速 新たなエコシステムの構築 埼玉りそな銀行社長・篠藤慎一氏インタビュー
埼玉りそな銀行の2026年3月期決算は、純利益が前期比55・6%増の554億円と4期連続の増益を記録。前中期経営計画(中計)で掲げた「価値の良い流れを創り出す」文化が組織に浸透し、金融教育や決済、資産承継などのKPIが大きく伸長した。今年4月からの新中計ではまち・ひと・しごとの3本柱で「未来志向の道徳銀行」へと歩みを加速する。篠藤慎一社長(55)に今後の展望を聞いた。
―26年3月期は過去最高益だった。
「顧客の困り事起点の価値共創活動が評価された結果だと受け止めている。本業の預貸金が伸び、役務取引等利益も過去最高を記録した。金利上昇を見据えて有価証券ポートフォリオの入れ替えも前倒しで行い、収益性の向上と将来への備え、成長への準備を進めることができた。前中計で成し得た個々の価値(点)を面に広げて、より深く持続的に発展させたい。先行き不透明な時代だからこそ変化を機会として捉え、新たな価値創出に軸足を置く」
―まちづくりの一環で昨年4月に空間デザイン室を新設した。
「少子高齢化が進む中で金融だけでは解決できない地域課題に対し、共創空間の創出により、地域のにぎわいや人のつながり、学びといった活動を生み出すのが目的。7月に新築移転する蓮田支店でもパブリックスペースを設けて地域に開放する予定だ。県内16拠点目となる」
―地域医療の課題解決にも積極的だ。
「4月に地域医療共創室を設置した。南部と北部の違いだけでも抱える課題は全く異なる。まずは実態把握に努めたい。銀行がハブとなり新たなエコシステム構築を目指す」
―ラボたま(地域デザインラボさいたま)が県の埼玉版スーパー・シティプロジェクトのパートナー(受託者)に決まった。
「コンパクト、スマート、レジリエンスを兼ね備えたまちづくりは銀行が向き合う困り事支援そのもの。自治体と課題解決に資する技術やサービスを持つ企業などとのマッチングを促したい」
―人生100年時代、高齢者の経験をどう生かすかも地域の持続的発展の鍵となる。
「シニア層が地域社会に貢献しながら自己実現を図る新コミュニティー『シニアスイッチ(仮称)』を(ラボたまで)今月中にも立ち上げる。豊富な経験と知識がありながら地域との接点を持たないまま定年を迎え、再挑戦のきっかけを見つけられないままでは社会全体の大きな損失でもある。気付きの場となるワークショップや学びを広げるサロンなどを開催し、多様な活躍への新たな挑戦を後押ししたい」
―資産形成への関心が高まっている。
「投資信託やファンドラップなどの運用残高が先月に1兆円の大台を超えた。新NISAの普及で長期・分散型で資産を増やしたいと考える人が着実に増えている。私たちも短期的な利益確定を促すのではなく、長い目で顧客に寄り添うスタンスを貫きたい」
―金利上昇で他行との顧客獲得も激化する。
「単なる規模の拡大は目指していない。顧客の困り事起点という考えに変わりはなく、解決までしっかりと伴走していく。埼玉りそなに相談して良かったと思っていただけるよう信頼関係を積み重ねることが(他行との)差別化だ」
【篠藤慎一(しのとう・しんいち)】 同志社大学経済学部を卒業後の1994年4月にあさひ銀行(現・埼玉りそな銀行)に入社。県内営業店、本部のほか、りそな銀行品川支店長、りそなホールディングス市場企画部長などを歴任し、2020年4月、同執行役。23年4月に埼玉りそな銀行常務、24年4月に専務に就任し、26年4月から現職。愛媛県出身、朝霞市在住。










