埼玉新聞

 

「創作人形展~作家の手がつくる、かたち~」 人形を芸術作品へ 作家7人のこだわり表現 さいたま市岩槻人形博物館、28日まで

  • 「夢」 平田郷陽 昭和8(1933)年 さいたま市岩槻人形博物館蔵

    「夢」 平田郷陽 昭和8(1933)年 さいたま市岩槻人形博物館蔵

  • 「孟春」 堀柳女 昭和43(1968)年 さいたま市岩槻人形博物館蔵

    「孟春」 堀柳女 昭和43(1968)年 さいたま市岩槻人形博物館蔵

  • 「夢」 平田郷陽 昭和8(1933)年 さいたま市岩槻人形博物館蔵
  • 「孟春」 堀柳女 昭和43(1968)年 さいたま市岩槻人形博物館蔵

 埼玉県さいたま市岩槻区の岩槻人形博物館で、特集展示「創作人形展~作家の手がつくる、かたち~」が開催中だ。昭和初期、人形を芸術作品へと高めようとした「人形芸術運動」。運動をきっかけに、オリジナリティーあふれる「創作人形」が盛んになった。運動の中心だった平田郷陽(1903~81年)ら作家7人のこだわりが詰まった創作人形を紹介している。6月28日まで。

 展示室には、幼子の一瞬を捉えた写実的な作品や、異国情緒あふれる人形など21点が並ぶ。人形の表情やしぐさ、衣装には、それぞれの作家が追い求めた「美」がにじむ。

 明治に入り、絵画や彫刻が「美術」として位置付けられる一方、人形は玩具や祭祀(さいし)用具とみなされていた。そうした中、人形の芸術的価値を高めようと起こったのが人形芸術運動だ。人形職人に加え、違う分野の芸術家や女性らも制作に参加。頭や衣装などを別々の職人が手がける従来の分業ではなく、一人で制作を担うことで、作家ごとの美意識や創意が色濃く表れるのが創作人形の特徴だ。

 展示室の冒頭に飾られているのが、平田の「夢」だ。幼子のぷっくりとした腕や脚、指先までが精巧に作られている。ほんのり開いた口元からは今にも「ふすー」という寝息が聞こえてきそうで、思わず頬が緩む。平田は、職人として培った高度な技術と写実表現によって、子どもや女性の生き生きとした姿を造形した。人形芸術運動の中心的存在として活躍し、戦後は人形作家として初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

 野口光彦(1896~1977年)は、近代御所人形の創始者とされる作家。伝統様式である白い肌に三頭身の幼子の人形に躍動感を取り入れた。「菊慈童(きくじどう)」では、子どもが右足を踏み出し、羽織をなびかせる。今にも駆け出しそうな姿が印象的だ。

 堀柳女(1897~1984年)は衣装へのこだわりで知られる。「孟春」は、オリエンタルな雰囲気を漂わせる緑色の衣装を絵具などで描きながら、袖口には朱色の布を用いている。このほか、さいたま市にゆかりのある綿貫萌春(1905~90年)、鈴木賢一(1918~2010年)らの作品も紹介している。

 担当学芸員の矢島璃子さん(28)は「背景や立場の異なる7人の作家を紹介している。こだわりがオリジナリティーを生み出した。作家が追求した『かたち』の魅力を感じてほしい」と話す。常設展示では、名品「御所人形 裸童」が約2年ぶりに登場しているほか、五月人形など伝統的な人形を展示。創作人形と比較しても面白い。

【創作人形展~作家の手がつくる、かたち~】 6月28日まで、岩槻人形博物館。さいたま市岩槻区本町6の1の1(電話048・749・0222)。午前9時~午後5時。休館日は月曜日。観覧料は一般300円、高校・大学生・65歳以上は150円、小中学生100円。

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