埼玉新聞

 

埼玉の介護現場にナフサ不足の影…使い捨て手袋やごみ袋に供給不安 施設「常にぎりぎり」 物価高と人手不足も重なり危機感

  • パック詰めのおかずを湯せん解凍し取り分けていく職員=2日、伊奈町のメディカルホームサルーテ伊奈

    パック詰めのおかずを湯せん解凍し取り分けていく職員=2日、伊奈町のメディカルホームサルーテ伊奈

  • 【地図】伊奈町(背景薄緑)
  • パック詰めのおかずを湯せん解凍し取り分けていく職員=2日、伊奈町のメディカルホームサルーテ伊奈
  • 【地図】伊奈町(背景薄緑)

 日本の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されてから3カ月、中東情勢の緊迫化で石油由来製品の調達不安が介護現場に広がっている。医療ソリューション事業のドクターメイト(東京)が全国の介護関連職員300人に行った調査では、4月中旬の時点で半数以上が使い捨て手袋やエプロンなどの供給不足を懸念。米国とイランの戦争終結に向けた交渉が難航する中、県内の介護施設は現状をどう受け止めているのか、現場の声に迫った。

■物価高と人手不足

 調査によると近年、介護施設でも「医療知識の習得や医療的ケアの必要性が増えた」と全体の61・0%が回答。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでも高度な医療知識が求められていることが分かった。最も多かったのが「たんの吸引」で103人が回答。次いで、「じょくそう(床ずれ)の管理」が88人、「感染症対策」が79人、「経管栄養」が76人だった。

 昨今、深刻さを増しているのがナフサ由来製品の供給不安。使い捨て手袋は医療的ケアのみならず、普段の調理や清掃などでも使うため欠品は許されない。品薄や価格高騰のあおりは、おむつ処理用のごみ袋や尿取りパッド、吸引チューブなどの医療資材にまで及び、中には「資材費を抑える代わりにスタッフの数を減らす」といった動きも出ているという。

■調理済み食品で節約

 伊奈町のサービス付き高齢者住宅「メディカルホームサルーテ伊奈」には現在18人の高齢者が暮らす。1日当たり3人の職員が交代で食事の提供から入浴など身の回りの世話を担当する。同施設でもナフサ由来製品の不足だけでなく、厨房(ちゅうぼう)を動かすための光熱費や配送・買い出しにかかるガソリン代が課題。さらに慢性的な人手不足も加わり、「常にぎりぎりの状態」と運営会社アクア(伊奈町)の責任者は本音を漏らす。

 施設では少しでも現場スタッフの負担を減らそうと約2年前から入居者用の食事に完全調理済み冷凍食品を導入した。朝昼晩のメニューごとに真空パックされ、保温器で湯せんするだけ。長期保存でき、食品ロスの削減や電気代の節約にもつながっている。調理の手間がないため、空いた時間はたまりがちな事務作業などに充てているという。

 「こういう時期だからこそ、改めてどこが節約できるかをスタッフ一同、前向きに楽しみながら見直している」とアクアの責任者。それでも2024年以降の物価高で自助努力だけではもう限界。地域の介護サービスを守るためにも、「イラン情勢の早期解決と国の包括的な支援をお願いしたい」と要望した。

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