埼玉新聞

 

上尾元市長の私有地に全額公費で工事、市議会が全員協議会 市側は圧力で発注、前議長は反論「ない」

  • 公費で新設されたフェンスブロック擁壁=6月20日、上尾市小敷谷

 上尾市議会は30日、新井弘治元市長の私有地のブロック擁壁とフェンスを市が全額公費で設置した問題について、市と前議長の小林守利議員から説明を求める全員協議会を開いた。市側は小林議員からの圧力によって、小林議員の長男が社長を務める「美創建業」に発注したと報告。市の説明後に出席した小林議員は「要望活動の一環として現地の立ち会いをしただけ。市に不当な働き掛けをしたことはない」と反論した。

 市の説明によると、当時の道路課長が判断して、総額約693万円の工事費を「美創建業」の随意契約にするため、100万円未満の工事7件に分けて発注した。これに対し小林議員は「なぜ7本に分割されたのか、私には分かりません」と答えた。

 さらに7件の工事について、それぞれ3社の相見積もりを美創建業が取りまとめた件についても、小林議員は「市から美創がまとめて提出してくださいとお願いされたので、他社から見積書を頂き金額は美創が入れた。これまでもずっとそうしてきた」と主張した。

 小林議員が当時の道路課長に「地権者からおまえの所でやれと言われた。うちで施工する」と電話で話したとしていることについても「一切そんなことはない」と反論した。

 協議の中で一部議員から、責任問題を問われた畠山稔市長は「市の調査委員会の報告書が出た段階で考える」と述べた。報告書は9月議会をめどに提出するとしている。

 上尾政策フォーラムと共産の2会派は全員協議会終了後、より強い調査権のある「百条委員会」の設置(地方自治法第100条第1項)を求めて臨時議会の招集を議会に請求した。

 小林議員は今年6月、問題発覚を受けて議長を辞任。新井元市長は工事費の全額を市に返還した。

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