さいたま市のデジタル商品券、高齢者に高い壁…5千円購入で2500円上乗せも申込率低迷 「認証が難しい」「一人では無理」の声 一方でスマホ活用の利点も
インターネット通販やキャッシュレス決済をはじめ、拡大の一途をたどるデジタルサービス。その波は行政サービスにも広がり、さいたま市は4月に物価高対策としてプレミアムデジタル商品券を販売した。申し込みは上限の80万セットを超えたが、デジタルに不慣れな高齢者に恩恵は届いたのか―。
■各区役所に相談窓口
さいたま市が販売したのは、5千円の購入で2500円分が上乗せされるプレミアム率50%のデジタル商品券。申し込みから購入、利用までスマートフォンのアプリを通じて行う必要があり、高齢者への影響を懸念する声や紙の商品券を求める声も上がったが、限られた予算の中でより効果的な支援とするため事務コストの少ない方式にしたという。 市は各区役所に相談窓口を設けたり、地域ICTリーダによるスマホ相談会と連携したりしながら、アプリの追加や使い方などの支援を実施。こうした成果もあり、申し込み開始前(2月23日)と終了後(4月19日)のアプリ登録者数を比較すると、70代は1万5732人から2万6470人、80代は4021人から8100人に増加した。
それでも、同市の年代別人口(1月1日現在)に占める申込者は70代で約16%、80代以上は約6%にとどまり、20%を超えた40~60代とは差が出る結果となった。
■購入を諦めた人も
「アプリの登録には2段階認証やマイナンバーカード認証が必要。認証の意味や必要性が分からない、操作に必要なアプリ切り替えができないという高齢者は多く、一人でやらせるのは難しい」
市内の公民館で高齢者向けのスマホ相談を実施する「スマホサロンさいたま」副代表の川原康裕さん(69)はこう指摘する。地域ICTリーダとして同市が開催するスマホ相談会の講師も務め、デジタル商品券やアプリについて相談を受けてきた。
クレジットカード登録やマイナンバー認証時の個人情報漏えいを心配する高齢者も多かったという。川原さんは「スマホを正しく使えばリスクをマネジメントでき、アプリのサービスによって受けられるメリットがデメリットよりはるかに大きい。相談者の不安を取り除くため、地域ICTリーダは公開された情報をかみ砕いて丁寧に説明してきた」と振り返る。
ただ、高齢者の場合は10年近く同じ機種を利用する人も少なくない。基本ソフト(OS)にアプリが対応しておらず、デジタル商品券の購入を諦めた人もいたという。
「必要な人に届いたのか。十分に支援できただろうか」。川原さんは物価高対策としてのデジタル商品券に疑問を呈しつつ、デジタル化が進む社会におけるスマホのメリットも強調する。「足腰が弱って出かけ難くなったり、重い物を購入したりする時にネット通販が使えることで楽に生活できるし、病院のネット予約ができれば待たずに済む。本当は高齢者ほどスマホを使えた方がいい」。今後も、同市のデジタル化がより良い方向に進むよう協力していく考えだ。
市地域活性化推進課の担当者は「前回の(デジタル地域通貨の)キャンペーンと比べても高齢者層の申込率は上がっているため、デジタルデバイド対策の効果はあったと感じるが、これからも高齢者にも使いやすいアプリになるよう努めていく」としている。









