【SDGs】創業の原点「環境経営」で災害に強い町づくり-丸電
電気・通信設備の設計・施工を行う丸電(さいたま市西区)は、環境経営を創業当時から業務に取り入れてきた先駆的な企業だ。災害が頻発する昨今、インフラ復旧の責務も大きく、社会からの期待も高い。時代の潮流に柔軟に対応する持続可能な組織をかじ取りしながら、環境対策に取り組み、災害に強いまちづくりに貢献する。
-環境経営を事業にいち早く導入しています。いつ頃からどういう取り組みをしていますか。
「創業者の父が自然豊かな新潟県津南町の出身で、事業の環境負荷低減には創業(1967年)当時から取り組んできました。約20年前に環境マネジメントシステム『ISO14001』を取得してからは、工事現場で発生する産業廃棄物の排出抑制や、分別処理、環境配慮型の建設機械の活用など、より具体的な取り組みを継続しています」
-災害が多発、激甚化する中、インフラ復旧に迅速に対応する組織をどう構築しましたか。
「東日本大震災でBCP(事業継続計画)の重要性を痛感しました。震災直後、電気・通信の復旧依頼が相次ぎましたが、その前に社員全員の安否確認に時間が掛かりました。苦い教訓を経て、社内のIT化を進め、一定の条件下で自動的に発動する社員安否確認システムを構築。1時間以内には社員の安否確認と復旧依頼への出動判断ができます。毎月の訓練も欠かしません」
-災害に強いまちづくりに携わる企業として、重要なことは何だと考えますか。
「2019年に関東を直撃した台風19号では、氾濫により損傷した河川監視用の情報網を夜通しの作業で復旧しました。有事の際、被害を最小限にとどめるにはBCPの確かさとともに、現地の状況を把握する情報力が必要です。当社は普段から取引先の電気・通信設備の仕事に携わり、取引先のことはよく知っています。平時に積み重ねた仕事や信頼関係が情報力につながり、有事にも生きる。期待に応えられる技術と社内環境を普段から整備しておくことが重要です」
-社員の働きがいや技術向上のために取り組んでいることは何ですか。
「この会社で働くことに満足していなければ、最高のパフォーマンスを発揮できませんし、お客さまに感動を与えることはできません。物心両面で社員の豊かさを実現できているか、数年ごとに『従業員満足度調査』を実施しています」
「未経験者も積極的に採用しているため、実践だけでなく、基礎知識の講習や座学を充実させています。仕事の特性上、資格も不可欠。技術系、事務系を問わず、全社員に資格取得時の報奨金制度と資格手当も設けています」
-女性が働きやすい環境も整備しています。
「女性の少ない業界ですが、当社では設計や積算業務は女性技術者が中心となり、現場の後方支援を担っています。また、仕事と出産・育児を両立する雇用規則も拡充。女性の産休・育休はもちろん、男性社員も育児休暇を取りやすいよう『パパ休暇』制度も規定に定めています」
-30年のゴールを目指して、さらに推進・挑戦していきたいことは何ですか。
「電気や通信技術の分野はこれからの時代、人々の暮らしを支える社会貢献度がますます高くなると思います。だからこそ事業の運営体制自体が時代の潮流に合致していなければなりません。特に、働きがいと経済成長の両立を図る制度の拡充や、女性管理職を輩出していく体制を作っていきたいと思います」
(提供:丸電)










