埼玉新聞

 

<高校野球>強豪西武台に劇的勝利 3失点完投の鴻巣・安部、9回裏で初球捉えサヨナラソロ本塁打

  • 鴻巣―西武台 9回裏鴻巣無死、サヨナラ本塁打を放ち、ホームインする安部(1)を迎える鴻巣ナイン。捕手加藤=上尾市民

 (埼玉大会=21日・上尾市民)

 鴻巣は3―3の九回、安部の右越えソロ本塁打でサヨナラ勝ち。安部は投げても3失点完投した。西武台は九回2死三塁の好機を生かせず。

■終わらない“のすっ子”たちの夏

 劇的な幕切れだった。鴻巣は3―3の九回裏、先頭の5番安部が初球を捉え、打球はぐんぐん伸びて右翼スタンドへ一直線。すぐさまベンチから飛び出した鴻巣ナインは、ゆっくりとダイヤモンドを一周した安部を手荒い歓迎で出迎えた。

 投げては3失点完投と投打でチームを勝利に導いた安部は「打ったのは高めのスライダー。初球から振っていこうと思っていた」と興奮気味に振り返った。

 「強豪相手に理想の展開だった」と金子監督。序盤は両投手がリズムよく打ち取り、四回まで両チーム無得点。試合が動いたのは五回、1死一、三塁から久保田の中越え2点打、宮平のスクイズで3点を先取した。

 しかし、相手はCシード西武台。簡単には勝たせてもらえない。六、七回にじわりじわりと1点ずつ詰め寄られ、八回には先頭の山田に三塁打を浴び、「代打が初球から振ってくると分かっていたので、慎重になり過ぎた」と安部の暴投で追い付かれた。

 気持ちが切れてもおかしくない逆境の中、安部はひときわ冷静だった。「追い付かれても自分たちには裏の攻撃がある。切り替えてアウトを一つ一つ取った」と仲間の好守にも支えられ、失点を最小限にとどめた。

 接戦の末にシード校を破り、2003年以来16年ぶりの16強に上り詰めた勢いは本物だ。「次も鴻巣らしく、チャレンジャー精神で挑んでいきたい」と安部。“のすっ子”たちの夏はまだまだ終わらない。

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