埼玉新聞

 

峠巡りを日本の文化に 埼玉・飯能の“ジャパン峠プロジェクト” ステッカー通じ盛り上げ

  • 峠の魅力を語る野口浩之さん=3月、飯能市

    峠の魅力を語る野口浩之さん=3月、飯能市

  • 奥村茶屋で販売しているステッカー

    奥村茶屋で販売しているステッカー

  • 【地図】飯能市(背景薄緑)

    飯能市の位置

  • 【地図】横瀬町(背景薄緑)

    横瀬町の位置

  • 峠の魅力を語る野口浩之さん=3月、飯能市
  • 奥村茶屋で販売しているステッカー
  • 【地図】飯能市(背景薄緑)
  • 【地図】横瀬町(背景薄緑)

 山道を登り、下りに変わる境目の「峠」。山を越える手段として使われる一方、峠道のドライブを楽しむ人や周辺で販売しているステッカーを収集する人もいる。飯能市の「ジャパン峠プロジェクト」が全国118カ所のステッカーを作製し、峠を巡るきっかけづくりをしている。代表の野口浩之さん(55)は「峠巡りを日本の文化にしたい」と意気込んでいる。

 「峠に行けば美しい景色、おいしいご飯屋さんに出合える。そして仲間にも出会える」と峠の魅力を語る野口さん。自身も若い頃は仲間と共に峠へ車を走らせるのが趣味だった。峠で互いの車を並べたり、周辺の飲食店でドライバーたちと集うなど、峠好きとの出会いを楽しんだ。

 飯能市には「正丸峠」があり、飯能で生まれ育った野口さんも魅了された。飯能市と横瀬町の境界にある峠で、旧国道299号に当たり、カーブが多く、擦れ違いが困難な場所もある。峠の頂上にはレストラン「奥村茶屋」があり、同店を訪問するために県外から足を運ぶ人も多い。

 同店は1985年から「正丸峠」などのステッカーを作り、累計400~500種類を販売してきた。野口さんも作製に携わっていたが、客から「他の峠はなぜないのだろう」という声を聞いた。地域性がドライバーの需要と合致すると考えた野口さんは、2016年に正丸峠を第1号として全国展開を開始。人気アニメ「頭文字(イニシャル)D」の聖地である関東の峠周辺の飲食店19カ所で、それぞれの峠の名前を冠したステッカーの販売を始めた。

 16年に「ジャパン峠プロジェクト(JTP)」として活動を開始し、現在作製したステッカーは県内7カ所をはじめ、全国118カ所に広がった。全てのステッカーを集める峠マニアも毎年約250人に上る。ステッカーの収集に没頭する人が多い理由について「それぞれの峠でしか買えないもの。ステッカーは訪問したという思い出になる」と話す。

 「ステッカーはあくまできっかけ。峠好きとの出会いや、峠周辺のお店に足を運ぶ手掛かりとなればうれしい」と語る野口さん。交流サイト(SNS)では峠好き同士がステッカーと共に訪問の報告をしたり、峠では全国津々浦々から集まったドライバーが車を並べて写真撮影を楽しむなどコミュニティーが生まれている。毎年山梨県の富士山麓でトークイベントや物販を行う「JTPミーティング」を開催し、ファン同士が交流する場も設けている。

 峠では騒音、スピード超過などの暴走行為が問題視されることもある。ステッカーを集める人は一般の普通車や軽乗用車で巡る人が多く、自転車や徒歩の人もいるという。野口さんは「峠はゆっくり楽しむものという認識が広がり、一人でも多くの人が安全に峠を巡ってもらいたい」と願っている。

 今年でプロジェクト開始から10周年を迎え、1~2月に飯能市内で開催した周年イベントは10日間で1300人が訪れる盛況ぶりだった。「これからも全国の峠好きをつないでいきたい」と語った。

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