卵にも価格高騰の波…全国平均で1パック309円 史上最高値を更新 3年前の“エッグショック”を上回る状況
農林水産省が毎月発表する「食品価格動向調査」で3月の鶏卵価格(サイズ混合10個入り)が全国平均で1パック309円と史上最高値を更新した。鳥インフルエンザの流行や飼料となるトウモロコシなど穀物価格の影響で高騰した3年前の“エッグショック”を上回る状況。過去5年間の水準と比べて約22%値上がりしており、「物価の優等生」と呼ばれた卵にも価格高騰の波が襲っている。
■気軽に買えなくなる?
さいたま市内にある食品スーパーの週末。買い物客でにぎわう夕方、「タマゴ1パック280円。なくなり次第終了」とタイムセールのアナウンスが流れる。ワゴンに山積みされた120パック分はわずか2分ほどでなくなった。
小学生男児2人がいる30代の主婦は「2人とも卵料理が好きなので毎日の食卓に欠かせない」と2パックまとめて購入。「コメなど身の回りのもの全てが高いので、金額がわずかでも長く続けば家計にはきつい」と嘆く。50代の男性は「いろいろな料理に使い勝手がいいし、高たんぱく低脂肪なので空腹時はゆで卵にして食べている。気軽に手を出せなくなったら困るね」と話した。
■供給源の親鶏の数戻らず
農畜産業が盛んな深谷市で今年創業66年を迎える養鶏業「花園たまや」では鶏舎16棟で約50万羽を飼育する。高橋洋平社長(47)は「ここ数年、鳥インフルエンザの流行で需給バランスが大幅に崩れている」と高騰の背景を説明する。
一般的に鶏が産卵を開始するまで、ふ化から150日以上かかる。今年も各地で鳥インフルエンザが発生しており、「感染リスクを考えると(被害農家では)親鶏の数を怖くて元に戻せないと思う」と分析する。同社でも鶏舎への人の出入りなど衛生管理に細心の注意を払っている。
卵パックやプリン容器、タマゴサンドなどの包装は石油由来。イラン情勢の緊迫化で原料のナフサ調達が減少すれば、新たな悩みの種になりかねない。同社では発酵方法を工夫し、付加価値を高めた「堆肥(鶏ふん)」を販売し収益分を補っている。
■「今までが安すぎた」
生卵かけ放題のごはん(TKG)セットやスコッチエッグ定食が人気の「そのさき食堂」(坂戸市)は、武藤養鶏場の武藤修一さん(48)夫妻が経営する店だ。餌代や光熱費が軒並み急騰する中、「むしろ今までの販売価格が安すぎた。正直ありがたい」と生産者としての本音を漏らす。昔から卵は「物価の優等生」と呼ばれるが、JA全農の価格を参考に値付けされるため、経費を価格転嫁しにくい側面があるからだ。
県内中小・小規模事業者約5万2千社が加盟する県商工会連合会の江原貞治会長は「イラン情勢に伴う原油価格の高騰で、収益の悪化を懸念する声が出始めている。県内は北部地域を中心に農畜産業も盛んなので、国や県に適切な支援をお願いしたい」と語る。それでも国内には十分な石油備蓄があり、「情報にあおられ、物の買い占めなどが起こらないよう私たちも冷静な行動を呼びかけたい」と話した。









