埼玉新聞

 

<参院選>自民・古川氏がトップで3選、公明・矢倉氏も再選 立民・熊谷氏、共産・伊藤が初当選

  • 当選が決まり、支持者らと万歳で喜び合う古川俊治氏(後列中央)=21日午後8時12分、さいたま市浦和区の選挙事務所

 令和初の国政選挙となる第25回参院選は21日、投開票が行われ、公選法改正で改選数が1増の4となった埼玉選挙区は、自民党現職の古川俊治氏(56)がトップで3選を果たした。自民から推薦を受けた公明党現職の矢倉克夫氏(44)も再選を決め、「自公で2議席」を維持した。野党は、参院選初挑戦の立憲民主党新人の熊谷裕人氏(57)、共産党新人の伊藤岳氏(59)がそれぞれ初当選。立民は勢いを見せ、共産は富樫練三氏以来、21年ぶりの議席獲得を果たした。投票率は前回より5・45ポイント低下し、46・49%だった。

■自公が議席堅持 立民は初、共産は21年ぶりの議席獲得

 約6年半続く安倍政権に審判が下された今回の参院選は、消費増税の是非や公的年金問題、憲法改正、経済政策「アベノミクス」の評価などを争点に、論戦が展開された。

 自民は、競合区で公明を推薦する選挙協力「埼玉方式」を今回も継続。改選数が1増でも2人目は擁立せず、手堅く「自公で2議席」を狙った。

 古川氏は医師で弁護士の専門性を生かし、医療・介護の充実、科学技術イノベーションの推進による経済発展などを訴えた。過去最多の100万票を獲得した6年前と同様に県内15小選挙区単位の組織や各団体などの支援を受け、安定した戦いを展開した。

 矢倉氏は自公政権による「政治の安定」を強調し、全会一致の議員立法を3本成立させた実績などをアピール。山口那津男代表ら幹部が何度も県内入りするなど、組織を引き締めた。安倍晋三首相も応援に入り、自公の連携を強調し、支持を広げた。

 さいたま市議の熊谷氏は知名度不足が不安視されたが、社会で弱い立場の人を守る政策を主張。立民の枝野幸男代表と二人三脚で国政で働くことを強調しながら、反自民の受け皿となり、無党派層からも支持を集めた。

 伊藤氏は「現場主義」を掲げ、消費増税反対や大学の学費半減などを訴えた。改選数1増を絶好のチャンスと捉え、志位和夫委員長ら幹部が何度も県内入り。国政選挙8度目の挑戦で初当選し、21年ぶりの議席獲得を果たした。

 国民民主党新人の宍戸千絵氏(41)は、自らの経験から介護制度の充実などを訴えたが、全県的な支持を広げることができず、無党派層も取り込めなかった。日本維新の会新人の沢田良氏(39)は、消費増税反対や税の使い道の見直しなどを訴え、ネットの活用で若者を中心に支持拡大を図るも組織力の弱さが響いた。

 NHKから国民を守る党新人の佐藤恵理子(えりぃ)氏(33)はNHKのスクランブル化、幸福実現党新人の小島一郎氏(48)は消費税減税や国防強化、安楽死制度を考える会新人の鮫島良司氏(64)は安楽死制度の検討などを訴えたが、議席に届かなかった。

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