埼玉新聞

 

心を柔らかく解きほぐすコーヒーと料理 「生きていい」と思える居場所守りたい 埼玉県さいたま市のカフェ クラウドファンディングで支援呼びかけ 「救われた」ファンも後押し

  • カフェ「ミチクサ」の店内=埼玉県さいたま市見沼区(画像を一部加工しています)

    カフェ「ミチクサ」の店内=埼玉県さいたま市見沼区東大宮6丁目(画像を一部加工しています)

  • カフェ「ミチクサ」の入り口

    カフェ「ミチクサ」の入り口

  • 「心からリラックスできるかけがえのない場所」と話す常連客男性の言葉に耳を傾けるジョージさん(右)=さいたま市見沼区のカフェ「ミチクサ」

    「心からリラックスできるかけがえのない場所」と話す常連客男性の言葉に耳を傾けるジョージさん(右)=さいたま市見沼区のカフェ「ミチクサ」

  • 各テーブルに置かれたみちくさノート。ページ内には客らの思いとイラストがあふれる

    各テーブルに置かれたみちくさノート。ページ内には客らの思いとイラストがあふれる

  • 【地図】さいたま市見沼区(背景薄緑)

    さいたま市見沼区の位置

  • カフェ「ミチクサ」の店内=埼玉県さいたま市見沼区(画像を一部加工しています)
  • カフェ「ミチクサ」の入り口
  • 「心からリラックスできるかけがえのない場所」と話す常連客男性の言葉に耳を傾けるジョージさん(右)=さいたま市見沼区のカフェ「ミチクサ」
  • 各テーブルに置かれたみちくさノート。ページ内には客らの思いとイラストがあふれる
  • 【地図】さいたま市見沼区(背景薄緑)

 「誰にも会いたくない朝や、眠れない夜があっても生きていていいのだと思えた。こんなにすてきな場所があると思うだけで、励みになる」―。文化的なイベントを定期的に開催、地域の人と人をつなぐカフェ「ミチクサ」(埼玉県さいたま市見沼区東大宮6丁目)が、クラウドファンディング(CF)で、営業継続のための支援を募っている。気軽に寄り道しながら出会いを育む居場所を守りたいと、常連客や店のファンらも後押しを続ける。

 JR東大宮駅から徒歩10分ほど。細い通路の奥にある隠れ家のような同店は、2019年にオープン。24年からは舞台俳優のオガワジョージさん(29)=蓮田市在住=が店主となり営む。朗読会や写真展など文化的な催しを重ね、「コミュニティーを生み出すカフェ」として、地域に開かれた居場所づくりを行ってきた。

 店内には、訪れた人が自由に思いを書き残す「みちくさノート」が置かれ、数多くの言葉が並ぶ。「ただいまと言いたくなる居場所」「ここに来ると安心できる」。CFサイトにも「ありのままでいいと言ってくれる場所が、どれほど救いになることか」といった声が届く。

 同店の理念は「まるごとのあなたで」。ジョージさんは10代から長く、心身の不調に苦しんできた。「ミチクサはどんな状態の人でも否定せず、安心して過ごせる場所で在りたい」と語る。

 昨年から通う男性は、交流サイト(SNS)でジョージさんが発信したエッセーや、客らが彼の人柄や店の温かさについて触れた多数の書き込みを読んだ。精神的な病を抱え、外出すら難しかったパートナー女性を「ここならきっと大丈夫」と励まし、来店。今では催しや客同士の触れ合いを、そろって楽しめるようになったと喜ぶ。

 料理も同店の大きな魅力の一つ。こくのある無水チキンカレーや地場野菜をふんだんに使ったランチメニューなど、いずれも丁寧な手仕事が伝わるおいしさだ。自家製チーズケーキは、スパイスが隠し味。香り高いスペシャルティコーヒーとともに、訪れた人の心を柔らかく解きほぐす。同区内の常連客、中山玲奈さん(26)は「一人で来ても自然に他のお客さんと話が弾む得難い場所。なくしたくない」

 支持を集める一方で、経営は厳しい。物価高の影響もあり店を引き継いで以来、自転車操業の状態が続く。CFの目標額は200万円。経営改善へ、音楽ライブ用の機材整備やベビーカーのまま入店できる環境づくりなどに充てる予定だが、これまでに寄せられたのは約17万円。「ここで人が出会い、つながっていく瞬間に立ち会えることが何よりもうれしい」と話すジョージさん。新たに生まれた関係性を、引き続き地域で循環させたいと支援を呼びかけている。CFは31日まで。(camp-fire.jp/projects/869625/view)。

 問い合わせは、同店(電話048・792・0345)へ。

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