埼玉新聞

 

<高校野球>花咲徳栄、6年ぶりのセンバツ 精神的な成長、チーム力を押し上げる 目指した隙の無い強い組織、グラウンドで最善のプレーを選択 自ら考える能力磨き「一戦必勝で優勝狙う」

  • 実戦形式の練習に励む花咲徳栄の選手たち

    実戦形式の練習に励む花咲徳栄の選手たち=2月20日、花咲徳栄グラウンド

  • 実戦形式の練習に励む花咲徳栄の選手たち

 第98回選抜高校野球大会は19日に甲子園球場で開幕する。花咲徳栄は昨年の秋季関東大会で投打ともに力を示して準優勝し、6年ぶりの春の甲子園出場を決めた。技術の高さに加え、選手たちの精神的な成長がチームの力を押し上げている。

■考える力

 2月20日、同校野球場。打撃練習中の選手に、岩井監督は少し離れた位置から「違う」と声が飛んだ。選手は言葉の意味を考え、チームメートと相談し、またバットを振り始める。「考えさせる。手取り足取りやるのは違う」と指揮官はあえて短い言葉で助言を与える。

 試合中、監督はベンチから指示を出せるが、プレーすることはできない。一瞬の判断は、グラウンドに立つ選手たちに委ねられている。緊張感や恐怖に打ち勝って最善のプレーを選択するには、自ら考える能力が必要不可欠だ。

 練習中だけでなく、食事や睡眠など生活の管理も選手自身で行う。右翼手の市村は「自分の体は、自分が一番分かっている。僕はけがが多いので、体のケアに気を遣っている」と語る。内面が磨かれることで、選手としても成長が促進される。

■一球の怖さ

 精神的な成長に大きく影響を与えた試合がある。昨夏の県大会4回戦の昌平戦。延長タイブレーク十回裏にサヨナラ満塁本塁打を浴び、敗退した。当時グラウンドには佐伯、岩井虹、笹崎ら現在の主力が立っていた。

 「一球の怖さを知った」と岩井監督。新チームが始動すると、隙の無い強い組織を目指した。岩井虹は「昨年は甲子園出場を目標にして、かなわなかった。今年は甲子園で勝つことを目標にした」と志高く、結束力を強めた。

 現チームの強さを象徴する試合がある。秋季関東大会1回戦の法政二(神奈川)戦。五回終了時で0―9と「コールド」間際まで追い込まれた。逆境から「チームでゴロや低い打球を心がけた」(市村)と無欲の打線が奮起。10点を奪って逆転勝利を収め、決勝まで勝ち進んだ。

■課題を直視

 関東準優勝で選抜を確実なものにしてからは、新たな課題を持って冬の練習に打ち込んだ。秋季大会8試合に先発したエース黒川は無敗だったものの、計23失点と安定感を欠いた試合もあった。「情けないピッチングをした」と意欲的にフォーム改善に取り組んだ。

 野手陣も負けていない。関東大会決勝では檜垣、菰田ら全国屈指の投手陣をそろえる山梨学院から4得点。中軸を担う奥野は「レベルが上がるピッチャーも打っていかないといけない」とマシンで150キロの速球をひたすら打ち込んだ。

 選抜の舞台は、各選手が重ねてきた努力を開花させる絶好の機会となる。本田主将は「個々のレベルが成長している。一戦必勝で優勝を狙う」と自信を胸に本番を迎える。

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