夫死亡、おの2本たたきつけられる…妻と娘も死亡 頭・首を狙った近所の男、法廷で「当時は寝ていた」 防カメに映った男は「似ている人」 被害者の血がついた衣服、男宅にあり「私を犯人にしたい人がいる」
2022年12月、飯能市の住宅で住民の夫婦と帰省中だった長女の親子3人が殺害された事件で、殺人、非現住建造物等放火、銃刀法違反の罪に問われた、無職の男(43)の裁判員裁判の第4回公判が19日、さいたま地裁(井下田英樹裁判長)で開かれた。被告人質問で事件当時のことを聞かれた男は「寝ていました」と犯行への関与を否認。被害者との面識も否定した。
男は弁護側に「この事件の犯人ですか」と問われると、「違います」などと答え、犯行の様子を撮影した防犯カメラに写っている男について「似ている人なんだと思う」と否認。事件は22年12月25日の午前7時過ぎに発生したとされているが、男は同日午前2時ごろに就寝し、午後3時ごろに起床したと話した。警察に逮捕、勾留された際には「身に覚えがなく、早く帰りたいと思っていた」と振り返った。
男宅から押収された被害者の血痕のついた衣服について、男は「心当たりがない。私を犯人にしたいと思っている人がいる」と述べた。犯行に使用したとされる凶器の購入も否定した。
男が書いたとされるノートには「盗聴」や「鬼畜英米」などと書かれていた。「自分しか知らないことを見ず知らずの人がしゃべっていると思った」と盗聴されている感覚が今でもあるといい、「2010年くらいからアメリカやイギリスが嫌いになり始めた」と述べた。
事件前、被害者宅の車などが傷つけられる器物損壊事件があり、男が逮捕されていた。嫌疑不十分で不起訴処分となったが、被害者の代理人弁護士から約127万円の損害賠償を求められ、男の母が支払った。男が返還を求めていたが、代理人は返還に応じておらず、男は今も怒りが強まっているとした。
起訴状などによると、男は22年12月25日午前7時10分から25分ごろまでの間、飯能市美杉台4丁目の住宅で、米国籍の男性(69)と妻(68)、長女(32)=いずれも当時=の頭や首などをおので複数回殴打して殺害し、被害者宅に放火したなどとされる。
■どんな事件だった 刑事責任能力を問えると判断(以下2023年12月24日配信、起訴時の記事)
2022年12月、飯能市の住宅敷地内で住民の夫婦と帰省中の長女の計3人が殺害された事件で、さいたま地検は2023年12月21日、殺人や非現住建造物等放火、銃刀法違反の罪で、近所の無職の男(41)=同市美杉台4丁目=をさいたま地裁に起訴した。裁判員裁判で審理される。
地検は男の事件当時の精神状態を調べる鑑定留置を2023年2月13日から2度目の延長を経て、8月4日まで実施。さらに同10日から2度目を始め、1度の延長を挟んで12月15日に終えていた。地検は計10カ月に及んだ鑑定留置の結果、男の刑事責任能力を問えると判断した。
起訴状などによると、2022年12月25日午前7時過ぎ、飯能市美杉台4丁目の住宅敷地内で米国籍の男性=当時(69)=に対し、おの(刃体の長さ約7・5センチ)の刃を頭部などに複数回たたきつけた上、別のおの(同約9・8センチ)で後頸部(けいぶ)などを複数回殴打し、死亡させた。さらに、同おので妻=同(68)=と長女=同(32)=の頸部などを複数回殴って殺害した後、住宅内に灯油をまき、火を放って1階リビング天井などを焼損(面積計約22・8平方メートル)させたなどとされる。
地検は男の認否を明らかにしていないが、8月10日に非現住建造物等放火と銃刀法違反の疑いで追送検された際の県警の調べには、殺人容疑を含め全ての容疑について「やっていない」と否認。捜査関係者によると、鑑定留置終了後の県警の調べに対しても、これまでと同様に容疑を否認していたという。動機に関しても一切語っていない。
男は、昨年1月に男性方に止められていた車などに投石し、傷を付けたとして器物損壊容疑で現行犯逮捕された。男性方では一昨年8~12月にも車や門扉を傷つけられる被害が計6回あり、その後、昨年2月までに同容疑で2度再逮捕されたが、いずれも供述を拒み続け、嫌疑不十分で不起訴となっていた。
事件発生から、間もなく1年。鑑定留置が計10カ月間にわたって実施された後の今回の起訴を受け、男の担当弁護士は「被疑者段階で鑑定留置を2回行うことは担当事件の中では初めて。おそらく全国的にも異例中の異例なのではないか。鑑定書を確認した上で、これからの方針を検討したい」と話している。










