埼玉新聞

 

“悲願”…上野東京ラインの川口駅停車 駅を再整備、停車は2037年以降の見込み 市は「都市間の競争を勝ち抜くための原動力」と位置付け 430億円の負担に疑問の声も 2月1日に市長選の投開票

  • 川口市の玄関口であるJR川口駅(東口)=川口市栄町

    川口市の玄関口であるJR川口駅(東口)=川口市栄町

  • 川口市の玄関口であるJR川口駅(東口)=川口市栄町

 任期満了に伴う埼玉県の川口市長選は25日、告示される。現職で3期目の奥ノ木信夫氏(74)は2月8日の今任期をもって引退する。選挙戦には、これまでに会社役員や県議ら、いずれも新人の6人が立候補を表明している。市政には中距離電車停車へ向けたJR川口駅の再整備や、市人口の約8・8%にも上る外国籍住民との共生の在り方など、さまざまな課題が残されている。投開票は2月1日。

■供用開始は37年以降

 2024年2月、市はJR川口駅に現在の京浜東北線に加え、上野東京ラインの停車へ向けた協議をJR東日本と進めると発表した。JR側から停車に向け、必要な施設整備案が示された。供用開始は37年以降と見込まれている。

 川口駅への中距離電車停車は市の「悲願」だった。地元経済界からは「夢がようやく実現する。人口増に見合ったまちづくりを推進してほしい」「商業地として選ばれるには交通手段の要素は大きく、都市間のレースに乗るに中距離電車停車は不可欠。最後のビジネスチャンスを確実にものにしてほしい」などと歓迎の声が上がった。

 市は長年にわたり、JR側に停車を要望してきた経緯があり、奥ノ木市長もJR東日本本社を訪れ、社長宛ての要望書を提出している。22年3月には中距離電車の停車へ、ホーム増設を盛り込んだ「川口駅周辺まちづくりビジョン」を策定。市は中距離電車停車を「首都圏近郊の都市間競争を勝ち抜くための原動力」と位置付けている。

 JRによると、24年度の川口駅の1日の平均乗車人員は7万5061人で、県内では大宮、浦和駅に次いで多い。駅舎の大部分は1960年代後半に建築され、建築後、50年以上が経過しているという。京浜東北線が運転見合わせなどとなった場合にはたびたび、改札の外まで利用者があふれ、需要に応じた輸送力強化が求められていた。

■全て市が負担

 一方で「請願駅」としての、再整備にかかる市の巨額な費用負担も懸念されている。24年2月にJR側から示された概算費用は約430億円。市はJR側と基本協定を締結し、JR側が実施主体となり現在、再整備へ向け測量や地質調査などが行われているが、昨今の物価高騰などを踏まえると、整備費が今後も当初示された金額のままとは考えにくい。

 国立社会保障・人口問題研究所の23年発表データでは、川口市の人口は35年ごろをピークにその後、減少に転じると推計されている。つまり、駅の再整備完成、供用開始はこのピークを過ぎ、人口減少局面に入って以降となる。

 駅再整備計画を巡っては、現在の市の方針を推進することで実現する輸送力強化やまちの成長、にぎわい創出に期待する声がある一方、「JRの駅舎建て替え費用が全て自治体持ち(負担)なのはおかしい」と、費用負担の在り方に疑問を呈する意見もある。また、今後、計画を精査し、JR側との費用負担の見直しを求める交渉ができずに、巨額負担が避けられない場合は、計画そのものを見直すべきではないかとの声もある。

■ソフト整備に遅れ

 川口市では災害時に避難所となる小学校の体育館、全52校でエアコンが設置されていない。市にはこうした整備を優先すべきとの声も寄せられている。奥ノ木市政では市税収納率を上げ、高めた財政力で新庁舎建設、火葬施設を含むイイナパーク整備、新市立高校建設ほか、リリア大規模改修や美術館建設などの大規模整備事業を実現した。

 現市政の継続か、刷新か。今後を見据えたまちづくりや、市民らが納めた税金の使い方はどうあるべきか。60万川口市民の今後の生活と、新たな市長が打ち出す施策と手腕が注目されている。

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