埼玉新聞

 

「朝の小1の壁」を解消へ 始業前に児童預かり実施 埼玉・富士見 市内の4小学校に隣接する放課後児童クラブを利用 見守り員はシルバー人材センターが担当

  • 見守り員がコミュニケーションを取り登校前の時間を過ごす児童=富士見市立ふじみ野小学校「ふじみ野第2放課後児童クラブ」

    見守り員がコミュニケーションを取り登校前の時間を過ごす児童=富士見市立ふじみ野小学校「ふじみ野第2放課後児童クラブ」

  • 見守り員がコミュニケーションを取り登校前の時間を過ごす児童=富士見市立ふじみ野小学校「ふじみ野第2放課後児童クラブ」

 富士見市は、小学校の始業前に児童を預かる「朝のこどもの居場所づくり事業」を実施している。登校時間が保護者の出勤時間よりも遅いことで生じる「朝の小1の壁」を解消することが目的。県のモデル事業として補助を受けながら、就業と子育ての両立を支援する。

 同市立ふじみ野小学校の敷地内にある放課後児童クラブに、午前7時過ぎ、父親と小学1年生の男子児童が登校してきた。見守り員2人に預けられた児童は、登校前の午前8時まで室内で過ごす。学習や読書、次にやってきた友人と談笑していると、あっという間に時間を迎えた。最後は見守り員が昇降口まで児童を送り出し、元気よく校舎へと走っていった。

 事業は、市内の小学校4校に隣接する放課後児童クラブを利用して、始業前の1時間、児童を一時的に預かる。対象は4校に在籍する小学1、2年生。来年3月までの試行実施で、利用料金は無料(別途保険料で年間800円)。見守り員はいきいき埼玉シルバー人材センター連合入間東部事務所が担当する。

 背景にあるのが「朝の小1の壁」。就学前に預けていた保育所の開始時間より、小学校の始業時間が遅いことから、保護者が出勤後の児童の居場所確保が課題となっている。県は本年度から「朝のこどもの居場所づくりモデル事業」を展開し、課題解決に乗りだした。実証に取り組む市町村に対して、200万円を上限に3分の2を補助する。市は事業費予算340万円を計上。県からの補助金を活用しながら事業浸透を図る。

 今後は市内の保育施設などを利用し、来年度就学予定の子どもを持つ保護者と現在1年生の子どもを持つ保護者を対象にニーズ調査のアンケートを行うほか、本格導入に向けた検討を進めていく。

 市子ども未来部保育課の佐藤武士課長は「年度途中での実施のため試行錯誤しつつだが、態勢を順次整えて次年度からの拡大を目指したい。子どもたちが安心して登校まで過ごせる居場所をつくるとともに、仕事と子育ての両立を支援する取り組みとして、富士見市が率先して進めていきたい」と話した。

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