埼玉新聞

 

町長の給与減額案を否決 埼玉・長瀞町議会 「期間が短い」「認識が薄い」なとど指摘 町議選での運動員報酬を受けて提出の特例条例案

  • 【地図】長瀞町(背景薄緑)

    長瀞町の位置

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 長瀞町議会12月定例会が9日に開かれ、鈴木日出男町長(65)が提出した「町長の給与の特例に関する条例」案が、賛成少数で否決された。鈴木町長は、2年前に初当選した町議選で選挙運動員らへの報酬が法定上限を超えていた問題を受けて、来年1月から3カ月間、自身の給与を50%減額する考えを表明していた。反対議員は「減額の期間が短い」などと指摘。町民からは「町のトップの自覚が必要」「今後の働きに期待したい」などの声が上がった。

 定例会には、議長を除いて6人の町議が出席。議会事務局などによると、町長の給与特例条例案において、議員からは、「問題の重大さに対する認識が薄い」「期間が短い。現議員の任期間(2027年4月まで)は対応するべき」などの意見があり、案に賛成した議員は1人だけだった。

 また、「町の代表にふさわしいとはいえない」などとし、議員の一般質問後に鈴木町長への辞職勧告決議案も提出された。案は賛成と反対が3人ずつとなり、議長採決で否決された。

 取材に応じた鈴木町長は「自ら起こしてしまった問題は重く受け止めているが、減給案が否決されて残念。今後も町民の方々に対して誠心誠意で謝罪していく。議員の声を受け止め、今後の対応を検討していきたい」と話した。

 今年6月に町長選に初当選した鈴木町長は、23年4月の町議選で、選挙運動従事者への報酬の延べ人数が、法令で定められている上限(35人)を超える58人分の支払いをしていたことが、収支報告書などから判明した。

 今回の採決結果に、町民の60代男性は「2年前の町議選のことであっても、町のトップに立っている以上は、過去の自分の行動に責任を負い続ける義務がある」と指摘した。70代女性は「町長選の演説を聞いたが、真面目で誠実そうな印象。今回の件は少し残念だが、今後の働きに期待したい」と語った。

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