埼玉新聞

 

男性無罪…タクシー代を払えず裁判に 所持金149円のまま乗車、払えないと認識していたかで争う 生活保護を受ける男性、降車せずバッグの封筒を確認…裁判長「合理的な疑いが残り、詐欺の故意は認められない」

  • 【裁判所】さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

    さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

  • 【地図】越谷市

    越谷市の位置

  • 【地図】さいたま市岩槻区

    さいたま市岩槻区の位置

  • 【裁判所】さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂
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  • 【地図】さいたま市岩槻区

 今年1月にタクシーの乗車料金を支払う意思や能力がないにもかかわらず、タクシーに乗車して運転走行させ、乗車料金8200円分の不法な利益を得たとして、詐欺罪に問われた無職男性(55)の判決公判が1日、さいたま地裁であり、並河浩二裁判官は無罪(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。

 男性は今年1月27日、越谷市の南越谷駅からさいたま市岩槻区の岩槻駅までタクシーに乗車した。当時の所持金は149円で、被告がタクシー乗車時に支払う能力がないことを認識していたかどうかが争点となった。検察は男性が生活保護を受給しており、所持金がわずかであったことを認識した上で乗車したと主張していた。

 並河裁判官は判決で、男性が目的地到着後にバッグから封筒様のものを取り出して確認し、運転手が交番に行こうとタクシーを離れた際にもタクシー車内にとどまっていたことなどから、「乗車料金を支払う能力がないことを認識していたと認めるには合理的な疑いが残り、詐欺の故意は認められない」と無罪判決を言い渡した。

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