埼玉新聞

 

正社員を雇わない「ソロプレナー」というスタイルで起業 資金調達の口コミ比較サイト「ファクログ」運営のrimad さらなる事業拡大へ

  • 「ソロプレナーという選択肢で起業する人が増えてくれたら」と話すrimadの大野克也代表

    「ソロプレナーという選択肢で起業する人が増えてくれたら」と話すrimadの大野克也代表

  • 「ソロプレナーという選択肢で起業する人が増えてくれたら」と話すrimadの大野克也代表

 資金調達の口コミ比較サイト「ファクログ」を運営するrimad(さいたま市)の大野克也代表(33)は昨年6月、正社員を雇わない「ソロプレナー」というスタイルで起業。今年9月には上場企業に株式譲渡し、さらなる事業拡大を狙う。大野代表は「M&Aはスモールビジネスでも活発になりつつある。起業リスクが高くないいまだからこそ、小さく始めてみることも大切」と話している。

 同社は、ファクタリングを中心とした資金調達に関するプラットフォーム事業を展開する。ファクタリングは企業が持っている「売掛金(売掛債権)」を、ファクタリング会社に買い取ってもらい、早期に現金を得る調達方法。銀行融資とは異なり、負債が増えず売掛金の入金日を待たず資金が手に入るため、資金繰りの改善が期待できる。

 起業に向けて目指した組織像は「スモールかつ高い機動力」。正社員を雇わず一人でビジネスを立ち上げ運営する起業家(ソロプレナー)としての生き方を選んだ。「業務委託や外部の力を借りて、事業推進力を上げたかった。生成AI(人工知能)の活用で業務効率化が図れるのも追い風になっている」と話す。

 ソロプレナーを選択した理由の一つが「マネジメント」。「人をまとめるよりも、自身で事業をゼロから生み出し伸ばしていく方が得意だと実感した。自分の得意分野に集中し、必要な領域はその道のプロに任せることが最適解だと思った」と振り返る。

 今年9月には広告業界向けプラットフォーム「メディアレーダー」などを運営する東証グロース上場のアイズ(東京都渋谷区、福島範幸社長)へ株式譲渡。実績豊富な上場企業の傘下に入ることで、さらなる事業拡大を狙える。「まずはファクタリング業界でトップに居続けることを目指す。アイズ社が金融領域に参入することで、市場拡大を行える」と期待を寄せる。

 大野代表は今後の展望について、「M&Aは大企業が実施するものというイメージもあるが、小規模でも活発になっている」と分析。「買い手側の経営者は事業拡大の手段としても活用できるはず。起業するハードルが低くなっているからこそ、まずは打席に立ってほしい」と力を込めた。

ツイート シェア シェア