埼玉新聞

 

スライド制度を導入へ さいたま市が複数年の業務委託契約で 人件費や物価上昇に対応

  • 【役所】さいたま市役所=埼玉県さいたま市浦和区常盤

    さいたま市役所=さいたま市浦和区常盤

  • 【役所】さいたま市役所=埼玉県さいたま市浦和区常盤

 さいたま市は、市が発注する建物清掃、警備、給食調理など複数年の業務委託契約について、契約期間中に人件費や物価の変動に応じて契約金額を変更できる「スライド制度」を導入する。来年1月以降に入札公告を実施。同4月から履行期間が開始する契約が、適用の対象となる。

 市調達課によると、昨今の人件費や物価の急激な上昇を鑑みて、スムーズに適切な価格転嫁を図ることが狙い。

 市は、建設工事請負契約では賃金や物価水準の変動に対処するために、同様のスライド制度を適用している。市立小中学校の給食調理など業種を問わず、複数年の業務委託契約にもスライド制度を導入することで、事業者側は金額変更の交渉がしやすくなるとともに、同課の担当者は「最低賃金の上昇に伴い、必要となる人件費確保の原資に、スライドした分を充てられるメリットがある」と語る。一方の市側は、適切な人件費で業務の質が確保できる。

 委託する市と受託する事業者が双方に金額の変更を請求でき、契約を結ぶ際に金額の見直し方を特約条項等にあらかじめ明文化した上で、制度を適用する。対象となるのは建設工事を伴う事業を除いた業務委託契約で履行期間が14カ月以上のもの。最初の12カ月経過後に協議を始め、2カ月以上の残履行期間がスライドの対象。債務負担行為を設定している契約も含まれる。

 市は、今年4月に業務委託のスライド制度を開始した埼玉県のほか、先行して実施していた札幌、名古屋などの政令市の取り組みを導入の参考にしたという。

 問い合わせは、同課(電話048・829・1175)へ。

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