英語でジョーク、まるで漫才…同学年の教諭コンビ、南アフリカの教育機関で授業 大気圧を体感できる実験、現象を分かりやすく解説 器具が足りない環境でも「日本と同質の理科を学んで」
県立南稜高校理科教諭の石塚祐貴さん(36)と、県立所沢高校英語教諭の古屋雅大さん(36)の同学年コンビによる理科の授業は、まるで漫才を披露しているかのようだ。教室内の子どもたちの笑いを誘発しながら、心地よく進んでいく。
8月5日、南アフリカ・リンポポ州にある教育機関「マステック・カレッジ」の教壇に2人は立った。石塚さんが風船、水、ガスバーナーなどを使って大気圧を体感できる実験を披露。古屋さんは、英語でジョークを交えつつ、南アの小学生たちに分かりやすく現象を解説した。
草加市出身の石塚さんは、県立草加南高校卒業後、日本大学理工学部に進学。「部活指導をこなしながら、生徒一人一人と向き合う時間をつくり、熱心に学びの機会を与えてくれた」という、高校時代の恩師の背中を追うように教諭になった。
「公立高校のお金がかからない環境で、生徒の知識を向上させる」が、石塚さんが重視する教育者としての使命。「実験器具が足りない南アの環境でも、あるもので工夫し、日本と同質の理科を児童たちに学んでもらいたい」と力を込める。
古屋さんは所沢市出身。明法高校(東京都)、埼玉大学教養学部、同大大学院を卒業した。学生時代は英語部に入り、アメリカなど海外の歴史研究に没頭した。「自分の好きなことを追求してきた結果、高校教諭の道にたどり着いた」と語る。
「どうして水がこぼれないの?」など、同州の小学生は、古屋さんに純粋なまなざしを向けて、次々と質問してくる。「日本人に教わる環境が新鮮だからなのか、子どもたちは積極的に発言してくれる。理科の理論は教科書でしっかり学習できているので、理解力が高い」と、古屋さんは現地の児童を評価した。
2人は派遣期間中、英語版の実験マニュアル作成や、ヴワニ科学資源センター(同州)の実験室の整理、動画投稿サイト「ユーチューブ」を連動させた教材整備などに二人三脚で取り組み、現場の実情に即した、草の根レベルの活動を進めた。
「1カ月間で、できることは限られるが、自分たちの足跡を後任へしっかり残し、県教諭の積み重ねで南アに貢献できれば」と、2人は熱く語った。










