埼玉新聞

 

大宮駅西口、38年連続でトップ 埼玉県内の基準地価 住宅、商業、工業の全用途で4年連続上昇 生活利便性高い地域で需要が堅調 住宅地は大型商業施設の誕生で所沢駅西側が大幅に上昇

  • 県内用途別上位3地点

    県内用途別上位3地点

  • 【役所】埼玉県庁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

    県庁=さいたま市浦和区高砂

  • 県内用途別上位3地点
  • 【役所】埼玉県庁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 県は16日、2025年度の基準地価(7月1日現在)を発表した。県平均変動率は住宅地が前年度比でプラス1・5%、商業地がプラス3・0%でいずれも4年連続の上昇。商業地は1991年度(プラス3・8%)以来、34年ぶりに3%台の高い伸び率を示した。工業地はプラス2・7%で12年連続の上昇。住宅地、商業地、工業地の全用途でプラスとなるのは4年連続。

■県央・南部中心に上昇傾向続く

 住宅地の1平方メートル当たりの平均価格は前年度比3300円増の12万6100円。県内中心部や駅徒歩圏の生活利便性に優れた地域で需要が堅調だった。最高価格は浦和駅西口、県立浦和第一女子高校北側の「さいたま市浦和区岸町3丁目」の57万5千円で、2019年度から7年連続の1位。価格上位3地点の順位は20年度から6年連続で同じだった。価格変動率では昨年秋に所沢市に誕生した大型商業施設「エミテラス所沢」からほど近い西武線所沢駅西側の「所沢市東住吉」がプラス7・8%でトップだった。

 商業地の平均価格は前年度比1万9900円増の36万1600円。最高価格は大宮駅西口、ソニックシティ近くの「さいたま市大宮区桜木町2丁目」の342万円で、1988年度から38年連続で1位だった。価格変動率でも同地点がプラス10・7%でトップだった。価格上位3地点は2017年度から9年連続で同じ。再開発事業に伴う利便性や繁華性向上に期待が懸かる地域、マンション用地と競合する地域で上昇した。

 工業地の平均価格は前年度比3800円増の7万6500円。最高価格は国道17号バイパス沿いの「さいたま市桜区町谷4丁目」の21万1千円。商業地同様に9年連続で上位3地点の順位は変わらず。価格変動率では首都高川口線新郷ランプ近くの「川口市本蓮4丁目」がプラス7・1%で1位。首都高や外環道沿線の県南部の上昇が目立った。

■八潮・道路陥没事故の影響少なく

 住宅地における市区町村平均変動率は県南部およびJR高崎線沿線地域などで上昇。山間部が多く今後過疎化が懸念される北西部地域で横ばい傾向が続く。商業地では昨年最も上昇した地点と下落した地点の変動率が最大9・2ポイント差だったが、今年は10・6ポイント差に拡大。地域差がより鮮明となった。

 1月に発生した八潮市の道路陥没事故の影響については事故現場から最寄りの商業地(中央1丁目)は横ばい。住宅地(鶴ケ曽根)は市内他地点と比べて上昇は小幅ながらも通勤・通学利便性の高いつくばエクスプレス沿線の都内隣接地のため、今後も上昇傾向が続くものと思われる。

 今後の先行きについて県内の地価変動に詳しい、みつば総合鑑定所(春日部市)の不動産鑑定士三田和巳さんは「米国の金利上昇や原油高、ウクライナ・中東情勢の余波などさらに上昇する懸念があり、円安トレンドが必ずしも地価にプラスに働くとは限らない。想定外の株価変動など今後も市場動向を注視したい」と話した。

 「基準地価」は県が調査した土地の標準価格で土地取引の指標として活用される。県内832地点(住宅地650、商業地136、工業地43、林地3)を不動産鑑定士が評価した。住宅地の上昇地点数は前年度から29地点減り394地点、商業地は4地点減り99地点、工業地は2地点減り40地点だった。

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