18歳の娘死亡…速度超過のトラックにはねられる、運転手は携帯に夢中 自転車に乗る娘、横断歩道を走行中だった 悲劇を語った母「なくしてから気付いても遅い」
21日に始まる秋の全国交通安全運動(30日まで)に先立ち、市民らに交通安全の大切さを伝えようと、「さいたま市交通安全秋のつどい」が2日、浦和区の埼玉会館で開催された。交通事故で家族を亡くした遺族が講話し、「一つしかない大切な命を自分で守って」と交通安全を呼びかけた。
同つどいは、さいたま市交通安全対策協議会、市、埼玉県警浦和署の主催で、参加した警察や交通安全関係団体、市民ら約200人が士気を高めた。
交通安全ステージでは、2018年に次女の実希さん=当時(18)=を交通事故で亡くし、「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」で活動する早舩麻里さん(53)=川口市=が講話。実希さんは横断歩道を自転車で走行中に、携帯電話で通話しながら運転し、速度超過していたトラックにはねられ、頭を強打した。
当時は自転車ヘルメットの着用が努力義務化される前で一般の自転車が着用するのは珍しい時代。実希さんもかぶっていなかった。早舩さんはヘルメット着用も含め「自分でできることをやって、一つしかない大切な命を自分で守ってほしい」と呼びかけた。その上で「当たり前の生活がどんなに素晴らしいか、なくしてから気付いても遅い。朝、『行ってきます』と家を出て行ったら必ず、『ただいま』と帰ってきて下さい」と訴えた。
式典では市交通安全対策協議会会長を務める清水勇人市長のあいさつに続き、浦和署の三浦孝一署長が県内交通事故死者の約3割が歩行中、約7割が交差点やその付近で発生しているとして「各年齢層に、キープ38プロジェクトの歩行者保護の意識向上と交差点通行時の確実な安全確認の励行を呼びかけていく」と述べた。その後、清水市長が「交通ルールを守ることはもちろん、思いやりや譲り合いの気持ちを忘れず、交通安全に努める」と安全宣言をした。
浦和署によると、さいたま市内で今年発生した人身交通事故は8月25日時点で1566件で前年同期比66件減、死者は8人で同2人減。いずれも減少傾向だが、市は、市内で過去3年間と比較し65歳以上の高齢者の交通死亡事故が増加しているとして、7月4日から8月3日まで「交通死亡事故多発非常事態宣言」を発令していた。










