炎の熱さを感じながらも家の中へ…居間から出てきた女性を救出した大学生 午後8時前に出火、「まだ助けられる」と判断し救助へ 交流があり「助けに行ったのは、一人暮らしをしているのを知っていたから」 「勇敢な行動」を称賛
住宅火災の現場から高齢女性を救出したとして、熊谷署は19日、熊谷市の大学生内田宏哲さん(21)に感謝状を贈呈した。内田さんは、市内にキャンパスがある立正大学4年生。「助けに行ったのは、おばあちゃんが家で一人暮らしをしているのを知っていたから。無事で良かったし、安心した」と振り返った。
火事は7月29日午後7時45分ごろ、同市玉井の無職女性(84)方から出火、木造一部2階建て住宅兼作業場を全焼した。女性は1階居間で過ごしていたが、火災に気付いていなかったという。
女性方は、内田さんが住む家の斜め向かいにある。自宅に居た内田さんは、火災を発見した母親の声で外に出ると、隣で暮らす女性の息子が仕事で使っている作業場付近から炎が上がっていた。
何かが爆発する音も聞こえ、火の手は大きくなっていたが、内田さんは「まだ助けられる」と判断。炎の熱さを感じながら女性方の玄関へ駆け付けて呼ぶと、女性が居間から出てきたという。内田さんは、足腰の弱っている女性に肩を貸して救助。家の外に連れ出した後は、安全な場所まで背負って避難させた。
内田さんの一家と女性の家族は、普段から会話をするなど交流があったという。内田さんは「どんな人が住んでいるのかが分からなかったら、おばあちゃんが残っているかどうかを確かめに行かなかったかも」と振り返る。県立深谷高校時代は山岳部に所属し、緊急時の対応方法を学んだ経験も役立った。内田さんは「人命救助を優先する考えが頭にあったので、冷静に体が自然と動いた」と言う。
同署の大久保忠弘署長は「勇敢な行動に、心から敬意を表したい。迅速な判断で、尊い命を救っていただいた」と感謝する。卒業後はIT関係企業への就職が内定している内田さんは、「これからもモラルのある行動を心がけていきたい」と語った。










