埼玉新聞

 

安田大サーカス団長、大宮巡る様子が次々SNSに じつは居場所特定し捕まえるゲーム 浮かぶネットの怖さ

  • 泥棒役で参加しゴールに到着したお笑いトリオ安田大サーカスの団長安田さん(右)ら=JR大宮駅構内

    泥棒役で参加しゴールに到着したお笑いトリオ安田大サーカスの団長安田さん(右)ら=JR大宮駅構内

  • 架空の捜査本部で、地図やネットを駆使しながら泥棒の位置を探索する佐々木成三さん(中央下)ら=さいたま市大宮区内

    架空の捜査本部で、地図やネットを駆使しながら泥棒の位置を探索する佐々木成三さん(中央下)ら=さいたま市大宮区内

  • 泥棒役で参加しゴールに到着したお笑いトリオ安田大サーカスの団長安田さん(右)ら=JR大宮駅構内
  • 架空の捜査本部で、地図やネットを駆使しながら泥棒の位置を探索する佐々木成三さん(中央下)ら=さいたま市大宮区内

 刑事になりきって泥棒を捕まえる捜査体験型イベント「リアルケイドロ」がJR大宮駅周辺で開かれた。元県警捜査1課警部補で刑事コメンテーターとして活躍する佐々木成三さん(46)が、「他者への共感や相互理解が得られるコミュニケーションツールにしたい」と企画監修。スマートフォンの交流サイト(SNS)上に投稿される写真や音声などの限られた情報を基に、大宮の街を動き回る泥棒を探し出すゲームで、参加者からは「SNSで場所が特定される怖さを遊び感覚で学べる」など、ネットリテラシーの向上につながる側面も期待されている。

 「1班、氷川神社の交差点で待機して」

 「4班、大栄橋の方に向かってください」

 さいたま市大宮区内の貸会議室に設けられた架空の捜査本部から現場の刑事に指令が飛ぶ。泥棒を追跡する手掛かりは、約5分おきにアプリ上に投稿される写真とリアルタイムで流れる音声。これをグループ内で共有する。捜査本部はA班とB班に分かれ、それぞれ4組の刑事を現場に派遣。どちらのチームが先に泥棒を捕まえるかを競った。

 泥棒役の特別ゲストは、お笑いトリオ「安田大サーカス」の団長安田さんと、お笑い芸人の代走みつくにさん。大宮公園から逃走を開始し、街頭を歩き回ったり、そば店で飲食するなどした上で、約1時間後にゴールの大宮駅改札に到着。見事に刑事の追跡を振り切った。安田さんは「すごく楽しかった。このリアリティーのあるスリルはどんなアトラクションやゲームでも味わえない」と笑顔を見せた。

 今回参加したのは、県内外から集まった男女約40人。捜査本部で写真の分析を担当した深谷市の会社役員近藤英恵さん(43)は、「少しだけ写っている電柱の番地や後ろの看板から居場所が特定できる。ネットにアップしてしまう危険性が分かった。自分の子どもにその話をしたい」。刑事役で現場に出た、さいたま市北区のアルバイト谷口鈴花さん(28)は、「一つの班が遅れると捜査が乱れる。コミュニケーションとチームワークが重要だと思った」と振り返った。

 ケイドロは複数人が刑事と泥棒に分かれて追いかけたり逃げたりする子どもの遊びの一種。ドロケイとも呼ばれる。この要素を生かしたリアルケイドロは2021年3月、東京・渋谷で初めて行われ、これまでに都内を中心に約20回開催。県内では蓮田市でも行われた。参加者はSNSなどで募集。個別の企業研修やチームビルディング、地域おこしにも活用されているという。

 佐々木さんは「初めて会った人でも終わった後には達成感を共有できる。大人と子どもが一緒に遊ぶことで(世代を超えた)縦の価値観を感じてもらえれば」と説明。県警でデジタル捜査を経験し、現在はネットの犯罪防止にも力を入れており、「アナログなコミュニケーションができるからデジタルコミュニケーションがうまくなる。顔と顔を合わせて共感できる時間をつくっていきたい」としている。

 次回は3月18日、東京・秋葉原で開催予定。詳細は「リアルケイドロ」ホームページへ。

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