「わいせつ処分歴」確認せず 臨時教員など8907人の採用で 埼玉県教委 国が義務付けているデータベース未活用 他自治体での未活用報道受けて調査
埼玉県教育委員会は12日、2023年度以降に採用した臨時的任用教職員など8907人に対し、国が義務付けている「特定免許状失効者等に関するデータベース(DB)」を活用した児童生徒への性暴力などの処分歴を確認していなかったと発表した。改めて調査したところ、いずれも処分歴はなかった。
DBは、文部科学省が構築する、児童生徒に対する性暴力などにより教員免許状を失効した当該者の過去40年分の記録を蓄積するもの。活用対象は校長、副校長、教頭、主幹教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、講師、実習助手、寄宿舎指導員(任用形態や勤務時間を問わない)で、23年4月から運用が開始された。教員免許状が失効、取り上げになった翌日に更新される。
県教委によると、7月16日の北海道と名古屋市でDB未活用の報道を受け、同18日から県内でも調査を開始。23年4月から25年7月17日に県で採用した臨時的任用教職員など1万3861人のうち、8907人がDB未活用だったと分かった。また、実習助手と寄宿舎指導員は教員免許状を必要としない職種であることから、DB活用対象外と誤認して処分歴を確認していなかった。本採用の教職員は全てDBを活用していた。
採用事務の担当者は、処分歴の確認が義務であることは認識していたが、他県からの紹介や教員免許状写しの目視に加え、20年度末から活用している官報情報検索ツールを用いての確認で問題ないと誤認していたという。同ツールの活用は任意とされており、児童生徒に対する性暴力以外の教員免許状失効情報を確認できるが、活用対象には校長、副校長、教頭、実習助手、寄宿舎指導員が含まれず、更新頻度が年に4回と少ない。
小中学校人事課は、同ツールの活用によって処分歴の情報の補完はできていたとしており、「マニュアルを見直し、担当者間で確実に共有することで法律に基づく採用手続きを徹底する」と話した。










