「まるひろ」閉店し跡地は…「地方都市独自の文化が消えていく」 嘆く店主が月イチでジャズと本の世界楽しめるカフェ 文化の発信で街を元気に 埼玉・東松山の「牡丹文化堂」
東松山市の中心市街地のぼたん通りにあるコミュニティカフェで、市民の有志がジャズと本の世界が楽しめるカフェ「牡丹(ぼたん)文化堂」を月に1回開いている。昨年、地域の顔だった百貨店が閉店したが、文化の発信で街を元気にしようと取り組んでいる。
牡丹文化堂は、同市箭弓町のコミュニティカフェ「まちカフェ」を毎月第4土曜日に借りて営業している。2022年夏から始め、今年6月で36回に。書棚や店前のワゴンで古本を販売。レコードでジャズを聴きながら本を読み、コーヒーを味わう。時にはライブも開催している。
店主はイベント会場のディスプレー会社に勤める岩田和彦さん(66)。「古本屋をやりたい」という長年の夢に、松山高校時代の同級生で元中学校長の鈴木朗さん(66)が協力して実現した。店名の「牡丹文化堂」は東松山を代表する花のボタンから取った。
店内の本は岩田さんの蔵書で、ジャズを中心に落語や演劇などのジャンルが多い。レコードは鈴木さんが所有する約2千枚から、テーマを決めて毎回8枚を選んでかけている。ライブは近隣地域を中心にプロ、アマを問わず出演。出演料は来場者の投げ銭で賄っている。営業日に合わせて、鈴木さんが編集した通信も発行している。
全国でジャズ喫茶の閉店が増えるなか、ジャズファンを中心に月1回の営業日を心待ちにしている人も。ネットを通じて口コミが広がり、さいたま市や都内などからも足を運んでくる。中には全国のジャズ喫茶を巡っている人もいるとか。「お客さんは個性的な人たちが集まってきている」と岩田さん。
中心市街地では昨年8月、まるひろ東松山店が閉店。鈴木さんは「跡地はマンションとなり、ベッドタウンの色が濃くなって地方都市独自の文化が消えていく」と嘆く。岩田さんも「(街の中で何かをやろうという)同好の士が他にも出てきて、池に石を投げるようにその輪が広がってほしい」と話していた。
牡丹文化堂は、7月は営業日が東松山夏まつりと重なるため休業。問い合わせは、岩田さん(電話090・4091・8524)へ。










