「殺される」「110番して」。クリスマスの朝、閑静な住宅街に叫び声が響いた。埼玉県飯能市美杉台4丁目の住宅で25日、男女3人が殺害された事件。住民は「早く犯人が捕まってほしい」と不安を募らせた。現場からは鈍器のような物を持って逃走する男の姿が目撃され、飯能署や市はメールなどで市民に警戒を呼びかけた。

　近くに住む複数の住民によると、被害者宅は外国人の男性と日本人女性の夫婦が住んでいたという。住民男性（58）は「この辺は普段は静かな所」と語りつつ「以前、鋭利な物で（被害者所有の）車が深く傷つけられるいたずらがあった」と述懐。事件が起きた時間にも異変を感じたといい「（午前）7時過ぎごろから女性の叫び声が聞こえた」と振り返る。

　車へのいたずらについて別の住民男性（77）は「警察に被害を届け出て、家にも防犯カメラを設置していたようだ」と話した。

　被害者宅近くの60代男性も「叫び声」を聞いたという。「『110番して。殺される』という女性の叫び声や『殺される。殺される』という男性の声が聞こえた」と語り、被害者について「10年ほど前に引っ越してきた。年配の夫婦だったと思う」と話した。

　60代の住民男性は「ごみ出しで会ったことがある。ここは平和なまち」と戸惑いを隠さなかった。集金で被害者宅を訪れたことがあるという70代女性は「こんな静かな所で、ちょっと意外」と不安げな表情で語った。

　市は25日、飯能署の情報として「ハンマーを持った不審者が逃走しています。玄関や窓を確実に施錠し、外出を控えてください」などとする内容をメールやツイッターで市民に送信。防災行政無線でも繰り返し呼びかけた。

　現場は西武池袋線飯能駅の西約1・3キロ。近くには中学校や児童館がある。現場の住宅にはブルーシートが張られ、捜査員が警察犬を投入するなどして周辺を捜索していた。