埼玉新聞

 

注目集める取り組み…古典文学の傑作をオペラに 埼玉で新作オペラ「平家物語」 東京に行かなくてもオペラ鑑賞、大宮ソニックシティで10月に上演 衣装に秩父銘仙や行田の足袋など登場

  • 琵琶法師役の八木勇征さん(ソニックシティ提供)

    琵琶法師役の八木勇征さん(ソニックシティ提供)

  • 「ソニックシティのことをぜひ知ってほしい」と話す加藤喜久雄・県産業文化センター理事長

    「ソニックシティのことをぜひ知ってほしい」と話す加藤喜久雄・県産業文化センター理事長=6月25日、さいたま市内

  • 琵琶法師役の八木勇征さん(ソニックシティ提供)
  • 「ソニックシティのことをぜひ知ってほしい」と話す加藤喜久雄・県産業文化センター理事長

 古典文学の傑作を、オペラ化する大宮発の取り組みが注目を集めている。県産業文化センターが主催する、新作オペラ「平家物語―平清盛―」が10月4、5日にさいたま市大宮区のソニックシティ大ホールで上演される。秩父銘仙など埼玉の名産品を衣装に用いて、栄枯盛衰の物語が現代によみがえる。

 大ホールや国際会議室を備えるソニックシティは1988年オープン。大規模改修で2021年7月~23年2月まで長期休館した。当初、開業35周年とリニューアルを記念して23年にオペラ平家物語の上演を予定していたが、新型コロナの影響で延期していた。

 ソニックを運営する同センターが、新作オペラを手がけるのは初めて。同センターの加藤喜久雄理事長(79)は「美しい日本語で、日本人の根底にある『諸行無常』という精神を描く、平家物語を題材に選んだ。混沌(こんとん)とした今の時代にもマッチしている」と説明する。脚本は、大河ドラマ「篤姫」の脚本を手がけた田渕久美子さん。清盛の波乱の生涯にスポットを当てるだけでなく、平徳子(建礼門院)ら一門の女性の生きざまも描いているという。

 清盛役はバリトン歌手の池内響さん、徳子役はソプラノ歌手の川越未晴さんら実力派がそろう。ストーリーテラーである琵琶法師役には「FANTASTICS」のボーカル・八木勇征さんを起用し、大きな話題に。オーケストラは読売日本交響楽団が務める。

 衣装には、秩父銘仙や行田の足袋を使うなど埼玉の名産品もオペラに登場。またゲネプロ(最終リハーサル)には、県内の高校生を無料招待する予定だ。加藤理事長は「東京に行かなくても、大宮にオペラが鑑賞できる施設があることを知ってほしい」と呼びかけた。問い合わせは、ソニックシティ(電話048・647・7722)へ。

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