埼玉新聞

 

2年ぶり公開、「原爆の図・第2部《火》」 修復が完了…画面張り替え、ほこり落として「細かい描写が見やすく」 東松山の丸木美術館、1~14部がそろうのは3年半ぶり

  • 修復を終えた「原爆の図・第2部《火》」の前に立つ学芸員の岡村幸宣さん

    修復を終えた「原爆の図・第2部《火》」の前に立つ学芸員の岡村幸宣さん=東松山市下唐子の「原爆の図丸木美術館」

  • 修復を終えた「原爆の図・第2部《火》」の前に立つ学芸員の岡村幸宣さん

 丸木位里・俊夫妻が制作した「原爆の図・第2部《火》」の修復が完了し、東松山市下唐子の「原爆の図丸木美術館」で13日から約2年ぶりに展示が始まった。同館所蔵の「原爆の図」第1~14部がそろって公開されるのは約3年半ぶり。

 「原爆の図・第2部《火》」は1950年の発表。4枚の画面からなる屏風(びょうぶ)二つが一組で、広島の原爆投下後に熱風にさらされ、炎に包まれた人々を描いている。

 修復は愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所(同県長久手市)で、2023年7月から行われた。ゆがんでいた屏風を新調して画面を張り替え、全体的にほこりを落とした。約25年前に作品を貸し出した際に付いた傷なども修復。光学調査で、火を描いた赤い絵具の中に素材が分からないものがあることが分かり、後年に加筆された可能性も考えられるという。

 学芸員の岡村幸宣さん(51)は「(修復によって)クリアになり、細かい描写が見やすくなった」と話す。「原爆の図」が14部までそろって展示されるのは7月6日まで。同館は改修のため長期休館を控え、「時代を超えてこの絵を守っていくことが、美術館の存在意義」と話していた。

 問い合わせは、同館(電話0493・22・3266)へ。

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