開放感ゆるっと移動 低速で走行、交通サービス「グリスロ」 埼玉・川越で実証実験 市役所や駅、県内最大の自然沼「伊佐沼」近接の施設を結ぶ
低速で走行する電気自動車による交通サービス「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」の実証実験が16、17両日、川越市内で行われた。同市伊佐沼の市グリーンツーリズム拠点施設と市役所、JR川越線南古谷駅の2カ所を結ぶルートを設定。乗客は通常の乗用車とは異なる開放感を楽しみながら、のんびりとしたペースで移動を体験した。施設の関係機関は交通手段としての効果などを検証する方針だ。
実証実験は、農家や観光事業者などでつくる「蔵inガルテン川越グリーンツーリズム推進協議会」(事務局・川越市)が旅行会社「農協観光」(東京都大田区)に業務委託して実施。市役所北側のバス乗降所と同施設間(約3・5キロ)、南古谷駅北側の空き地と同施設間(約3・1キロ)をそれぞれ往復するルートで運行した。
車両は「モビリティワークス」(東京都町田市)が手がけた電気自動車2台で、運転手を含め6人乗りと4人乗り。軽乗用車ほどのサイズで、車両の内外を隔てるドアの部分はなく、時速20キロ未満で走行する。バッテリーは座席の下に設置されており、二酸化炭素の排出はない。フル充電からの航続距離は約80キロという。
総務省の地域力創造アドバイザーを務める同社の西利也代表取締役は、グリスロについて「ただの移動手段ではなく、周囲を歩いている人とコミュニケーションを取ることもできる。観光の周遊にも適している」と説明する。
市役所と施設を結ぶ便では、参拝客でにぎわう川越氷川神社の前の道路や、田植えの時期を迎えた水田の間に敷かれている道路を通りながら、片道約15分で走行した。
市グリーンツーリズム拠点施設は県内最大の自然の沼「伊佐沼」に近接し、バーベキューや農業体験を楽しむことができる。2024年度の利用者数は4万6763人で、農業体験の参加者数も6449人に上った。一方で駅などから遠距離にあるため交通アクセスが課題となっている。
農協観光はグリスロに関して、利用者へのアンケートを行った。市の担当者は「アンケート結果を基に利用者数やアクセス、中心市街地との連携の可能性について検証する」としている。










