埼玉新聞

 

町政継承と若さを選択 埼玉・川島町長選 新人の藤間氏が初当選 三つどもえの選挙戦制す 町内全域を歩き回って名前の浸透を図り「靴を2足だめにした」 元町長の支援も鍵に

  • 川島町長選で初当選を決め、支持者らと万歳をする藤間隆氏(右から3人目)=川島町三保谷宿の選挙事務所前

    川島町長選で初当選を決め、支持者らと万歳をする藤間隆氏(右から3人目)=川島町三保谷宿の選挙事務所前

  • 町役場に初登庁し、支持者の女性から花束を贈られる藤間隆町長=19日午前10時半ごろ、川島町役場

    町役場に初登庁し、支持者の女性から花束を贈られる藤間隆町長=19日午前10時半ごろ、川島町役場

  • 川島町長選で初当選を決め、支持者らと万歳をする藤間隆氏(右から3人目)=川島町三保谷宿の選挙事務所前
  • 町役場に初登庁し、支持者の女性から花束を贈られる藤間隆町長=19日午前10時半ごろ、川島町役場

 町長辞職に伴う埼玉県川島町長選は18日投開票され、無所属新人で元町政策推進課長の藤間隆氏(60)が、いずれも無所属新人の元町議、粕谷克己氏(68)と元町議会議長の道祖土証氏(71)に大差を付けて初当選を飾った。藤間氏は元町長の事実上の後継候補で、告示時点で59歳という若さに期待する声も集める形となった。

 同日午後10時の開票速報で、いきなり相手候補に3千票の差を付けて当選確実となった藤間氏。「見間違えたと思って何度も見返した」と笑う。選挙の準備を本格的に始めたのは4月初旬。投開票日まで、わずか約50日。知名度は低く、組織はゼロの状態だった。まずは地元の支持を固め、町内全域を歩き回って名前の浸透を図った。「靴を2足だめにした」という。

 選挙戦では「若い人に町長をやってほしい」という声を聞き、若者や女性からの支持を肌で感じたという。今回の町長選の投票率は53・29%と、前回より3・27ポイント上昇したが、「若い人や女性の票が底上げしたのではないか」と藤間氏は話す。

 もう一つ、鍵となったのは飯島和夫元町長の支援だ。当初は「次の町長は若い人にやってほしい」とする一方で、明確な後継指名はせず、藤間氏の後方支援に回っていた。しかし、相手陣営が町政批判を強める中で、選挙戦終盤からは積極的に街頭でマイクを握り、藤間氏支持を呼びかけていた。

 また、自民党の地元支部のほか、公明党の地元支部が藤間氏を推薦したことも強い追い風に。こうした動きが集まって、選挙戦終盤に藤間氏支持の広がりが加速した。

 藤間氏の完勝に飯島氏は「最初は無名で後ろに下がっていたが、第3コーナーで追い付いた。(藤間氏は)政策推進課長として7年間も私と一緒にやってきた。今後は憂いなく市井で暮らしていける」と喜ぶ。藤間氏も「飯島町長がまいてくれた種を育て、藤間としてのカラーを出していきたい」と話す。

 一方、2度目の町長選となった粕谷氏は、前回よりも400票近く減らした。「(立候補した2人の元町議同士が)前町長に対する批判票を分け合ってしまった。公約が理解してもらえなかったのは残念」と敗戦の弁を述べた。

 また、道祖土氏の辞職に伴う町議補選(欠員1)も行われ、新議員が決まった。

 当日有権者数は、1万6073人(男8183人、女7890人)。町長選の投票者数は8566人(男4252人、女4314人)で、投票率は53・29%(男51・96%、女54・68%)。

■「町元気にしたい」初登庁で意気込み

 川島町長選から一夜明けた19日、初当選を果たした藤間隆町長が役場に初登庁。午前10時半に、役場正面玄関前で大勢の支持者や幹部職員に出迎えられた。

 藤間氏は元町政策推進課長で4月初めに退職。約50日ぶりに町長としての帰還に、「一生懸命(選挙戦を)戦って戻ってきました」と第一声。支持者から「おめでとう」と祝福の声が上がった。藤間氏は役場の各部署を巡って職員らにあいさつをした後、当選証書の授与式が行われた。

 藤間氏は取材に対し「行政を運営するというのではなく、経営という感覚で町を元気にしていきたい。自分だけではできないので、職員とアイデアを出し合ってしっかり進めていく」と話した。

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