埼玉新聞

 

舞い上がれ!2年分の思い 秘伝の「手作りロケット」秋空高く 秩父で龍勢祭 17流派が奉納

  • 白煙を噴き出しながら上空へ打ち上がる龍勢=9日午前9時半ごろ、埼玉県秩父市下吉田の椋神社周辺

 秩父市下吉田の椋神社の例大祭「龍勢祭」が9日、神社周辺で行われ、地元住民らで組織する製造流派の手作りロケット「龍勢」が、秋空へ打ち上げられた。

 今年は「秩父吉田の龍勢」(国重要無形民俗文化財)の存続を最優先に、規模を縮小して開催。各流派や約2万7900人の来場者は、待ち望んだ3年ぶりの打ち上げに目を細めた。

 龍勢祭は400年以上の歴史を誇る。各流派は9月から本格作業に取りかかり、松や竹などを用いて秘伝の技巧でロケットを製造。高さ約20メートルのやぐらから、本番一発勝負で発射し、上空約300メートルの高さまで打ち上げる。

 今年は例年の約半数となる17流派(全27流派)が龍勢を奉納。「2年分の思いを込めて、天高く舞い上がる」などと口上が述べられた後、点火された龍勢はごう音とともに白煙に包まれて上昇。最高点に達すると落下傘がふわりと空で踊り、会場は盛大な拍手に包まれた。

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