人口減視野に論戦か 埼玉・和光市長選、11日に告示 現新一騎打ちの公算 市制施行から55周年迎え、人口は8万4千人の自治体
任期満了に伴う埼玉県の和光市長選は11日告示、18日投開票が行われる。再選を目指す現職の柴崎光子氏(50)と新人で同市議会議長の安保友博氏(44)が立候補を表明しており、現新による保守同士の一騎打ちの公算が大きい。「和光市駅」の駅前再開発やインターチェンジ周辺の土地区画整理事業など大規模開発を推進する中、財政基盤を確保しながら、10年後をピークに減少に転じる人口推計に見合った子育て支援策や街づくりなどを巡り、論戦が交わされそうだ。
市は1970年の市制施行から55周年を迎え、約4万人だった人口は2025年4月現在、2倍を超える約8万4千人(約4万4千世帯)に達している。東京都に隣接する利便性から、市民の平均年齢は42・2歳(23年3月現在)で、県内では戸田市と共に最も若い自治体となっている。
■少子高齢化
市企画人権課によると、市制施行後、増加している人口は34年の約8万6千人を境に減少に転じる。また、ピーク時までの10年間で15歳以下の子どもは1万752人(24年1月)から9076人に減少する一方、高齢者は1万5360人(同)から1万7405人に増加する。
人口は増加するものの、少子高齢化が加速する中、高齢者福祉や子育て支援策、地域コミュニティーの在り方などが求められている。
■不登校対策
全小学校9校では公設と民設の学童保育計15カ所が設置されており、5年前に導入した無料の放課後こども教室が待機児童の補完施設として機能している。ただ、不登校はコロナ禍を境に年々増加し、23年度は小学校では全児童の2%、中学校では全生徒の6%に上っている。
不登校対策について、柴崎、安保両氏は「学校と自宅以外の第三の場所を市内に整備し、児童らが選択できる環境をつくる」と異口同音に言う。また、子育て支援で関心が集まる給食費の無償化について、柴崎氏は「今は考えていない」、安保氏は「選挙公約にしたい」と話している。
■街づくり
20~40代の子育て世代が人口の約45%を占め、年間の転出入者は人口の1割弱で推移し、自治会の加入率は35%(24年4月)を下回っている。
新旧の住民をつなぐため、柴崎氏は「個人でも誰でも入れる組織を小学校区ごとに立ち上げており、その活動を広げていきたい」と街づくりの重点に置く。
「誇れるまち」を掲げる安保氏は「ポテンシャルの高い市内企業との連携で市内経済を活性化し、子育てにお金のかからない、子育てがしたいと思える街づくりに取り組む」と強調する。










