埼玉新聞

 

発達障害の生きづらさを描く 映画「茶色い涙」5日から都内で上映イベント 埼玉・所沢などで撮影 松岡峻監督「ポジティブなイメージに変えたい」

  • イベントで披露する芝居の練習を重ねる松岡峻さん(右)=1日、都内

    イベントで披露する芝居の練習を重ねる松岡峻さん(右)=1日、都内

  • イベントで披露する芝居の練習を重ねる松岡峻さん(右)=1日、都内

 発達障害の映画監督、松岡峻さんによる生きづらさがテーマの映画「茶色い涙」の上映イベントが5日から3日間、都内で行われる。今夏に公開予定の「ユメと夢の絵本」と連動した物語で、両作品は所沢市内で多くのシーンが撮影された。松岡さんは「所沢は“聖地”」と語り、「障害をポジティブなイメージに変えたい。当事者だから伝えられることもあるはず」と力を込める。

■自らの経験盛り込む

 「ユメと夢の絵本」は、社会に生きづらさを感じ、空想の世界を描いて生きるユメと、夢に向かって前向きに生きるカズが出会い、生き方を見つけるストーリー。そしてユメが描いた絵本が、もう1本の映画「茶色い涙」の物語という設定だ。松岡さん自身が経験したエピソードが盛り込まれ、発達障害を個性や可能性として描く。

 所沢在住の知人の紹介で、市内各所で映画の撮影が行われた。「茶色い涙」には所沢市民が多く出演。「ユメと夢の絵本」は、市内の小学校や公園などが撮影地に選ばれ、小野塚勝俊市長も出演しているという。重要なミュージカルシーンは、同市東所沢和田の東所沢公園で撮影した。「自分も歌で救われたので、入れたいシーンだった。所沢が(映画の)聖地になると思う」と語る。

■当事者だから伝えられる

 松岡さんは高校1年生の時にADHD(注意欠如・多動症)と診断された。「努力すれば治るもの」と誤解され、「何で生まれてきたんだろう、死にたいと思っていた」と当時を振り返る。「相手を受け入れ、否定しない」という即興芝居(インプロ)と出合って前向きになったといい、現在は役者や映画監督として活躍する。

 上映イベントは5~7日に東京都新宿区の「新宿44ファンタジー」で行われる。「茶色い涙」の上映のほか、8年前に制作した「ユメと夢の絵本」の舞台版などを披露。「(発達障害は)周りに言えずに苦しんでいる人が多く、自殺者も多い。障害をポジティブなイメージに変えて、『うらやましい』と思われるくらいにしたい。当事者だから伝えられることがあるはず」と力を込める。

 イベントのチケットは2500円で、申し込みは特設の予約フォームからできる。詳細はX(旧ツイッター)の「ユメと夢の絵本」公式アカウントへ。

 今後は所沢市内でのイベントも実施する予定。

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