埼玉新聞

 

泣いた…小4女児、“英検準1級”に合格 大学中級レベル、帰国子女ではない10歳 英語に触れたのは3歳、シールもらえて勉強加速 英国人講師と週1レッスン、英語アニメ倍速「日本語より好き」どんな勉強方法

  • 英検準1級の合格証書を手に、満面の笑みの大西知花さん=さいたま市大宮区のABCキッズイングリッシュ

    英検準1級の合格証書を手に、満面の笑みの大西知花さん=さいたま市大宮区のABCキッズイングリッシュ

  • 英検準1級の合格証書を手に、満面の笑みの大西知花さん=さいたま市大宮区のABCキッズイングリッシュ

 大学中級程度の英語力が必要とされる実用英語技能検定(英検)準1級に、私立さとえ学園小学校5年の大西知花(さとか)さん(11)=さいたま市北区=が、4年生だった今年3月、10歳で合格した。帰国子女ではなく、日本で生まれ育った大西さんは、幼い頃から英語の本や歌に親しみ、自然と英語力を身に付けた。たゆまぬ努力と持ち前のガッツで、5度目の挑戦にして難関を突破。「諦めないで続けてきて良かった」と喜びをかみしめた。

■楽しみながら上達

 大西さんが英語と出合ったのは3歳の頃。ABCインターナショナルプリスクール(大宮区吉敷町)に通い始め、英語の本を読んだり、英語の歌を歌ったり、楽しみながら英語に触れた。年中の時には、1年間で400冊の本を読んだ。「シールがもらえて表彰されるのがうれしかった」。めきめきと上達し、年長で英検準2級に受かった。

 小学校に入学後の1年間は英語から遠ざかっていたものの、2年生でABCキッズイングリッシュ(英会話教室)に入り、3年生の6月に2級を突破。ただ、勢いのまま対策せず臨んだ10月の準1級は合格点から程遠く、「社会問題も分からないと駄目で、レベルが違った」と痛感した。

■“5度目の正直”

 分厚い壁の打破に向け、4年生だった昨年7月から英国人講師のサイモン・クーパーさん(44)との週1回、60分の個別レッスンを開始。1次試験の筆記攻略に必要なリーディングとライティング力の強化に取り組んだ。

 その後も、コンピューター上で受検できるS-CBTを含めて2回(昨年8、10月)不合格となったが、「目標を達成する前に投げ出したくなかった」。持ち前の粘り強さで約20回のレッスンを積み重ね今年1月、通算5度目の挑戦で1次を突破。2次試験のスピーキング(英語の面接)には自信を持っていたため、「めっちゃ喜んで飛び跳ねて、安心して泣いた」と実感を込める。2次も晴れて通過した。

 直接、面識はないものの、同じABC出身で小学5年生で準1級、中学2年生で1級に合格した白川怜さん(14)=私立栄東中3年=の存在も大きな励みになったという。

■講師「誇り、光栄」

 日本英語検定協会によると、準1級の試験は4技能(聞く、読む、書く、話す)だけではなく、社会的な課題を含む内容で、大人でも合格するのが至難の業だという。クーパーさんは電話取材に「彼女の年齢では到底、準1級に受かるわけもないが、できないことをやってくれて誇りに思うし、生徒に持てて光栄。宿題や課題に一生懸命取り組んでくれた成果。特にライティングの要約を頑張った」と賛辞を贈り、聞いていた大西さんは照れ笑いを浮かべた。

 大西さんにとって英語は、「身近なもので日本語より好き」。英語学習の教材の中にあるアニメで名作といわれる若草物語や西遊記、赤毛のアンなどの動画を標準の1・3倍の速さで見るほか、ファンというアリアナ・グランデら外国人歌手の歌を聞いたり、歌うのが日課だ。

 最難関の英検1級については、中学受験に向けた勉強を優先するため、今後、受検するかどうかは未定という。将来の夢は「今はそこまで深くは考えていないけど、外国でお医者さんになったり、英語の先生をやってみたい気持ちもある」と笑顔で答えた。
 

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