埼玉新聞

 

女性死亡…はねた猛スピード飲酒女、遺族に謝罪せず 懲役8年に…無職、無車検、無保険、無資産で賠償せず

  • 【地図】飯能市

    事件が起きた飯能市

  • 【地図】飯能市

 飯能市の県道で2018年10月、無車検、無保険の乗用車を酒気帯び状態かつ制限速度を96キロ超える時速約136キロで運転し、女性をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)や道路運送車両法違反などの罪に問われた、無職内田圭子被告(48)=飯能市原市場=の裁判員裁判の判決公判が12日、さいたま地裁で開かれ、北村和裁判長は懲役8年(求刑・懲役10年)の判決を言い渡した。

 北村裁判長は判決理由で、被告が車検切れで強制保険にも加入していない車の運転が法律で禁止されていることを知りながら普段から運転し、犯行時は相当量の飲酒からそれほど時間が経過していないうちに緊急性もなく車を運転して事故を起こしたと説明。「個人的な感情に任せて、指定最高速度の3倍を超えるスピードで走行した。道路交通ルールを無視した身勝手な行為だ」と指摘した。

 北村裁判長は量刑については「前科のない者による高速度類型の危険運転致死事案の中では重い部類に属する」と付け加えた。さらに被告が犯行後から公判が始まるまで、金銭賠償はおろか、遺族への謝罪の気持ちすら一切伝えてこなかった点にも触れ、「遺族の処罰感情が厳しいのも当然と言える」と断じた。

 弁護側は、これまでの公判で被告が車の保険が使えず賠償に充てる資産もないとして「せめて自らが刑務所に入ることで最低限の責任を果たそうとしている」と述べた上で「衝突直前に回避行動を行っている」と主張。懲役6年を上限とする刑を求めていた。

 判決によると、内田被告は18年10月2日午前9時40分ごろ、飯能市の県道を酒気を帯びた状態で無車検、無保険の車を制限速度の3倍以上の時速約136キロで運転。カーブを曲がり切れずに、対向車線の路側帯付近にいた女性=当時(50)=をはね飛ばし、前方の電柱に衝突させるなどして、死亡させた。

ツイート シェア シェア