埼玉新聞

 

地元の「いいもの」広めたい 有機農家や作物を応援 寄居オーガニックカウンシル会長・柴崎広美さん

  • ニンジンを収穫する柴崎広美会長

 毎月第1、3金曜日の夕方になると、寄居町富田の東武東上線「みなみ寄居〈ホンダ寄居前〉駅」から「お疲れさまです」「寄居の有機野菜です」と呼びかける声が響いてくる。無農薬や無化学肥料で栽培した野菜などを販売する「寄居いいもの市」だ。柴崎広美さん(57)が会長を務める「寄居オーガニックカウンシル」が2021年6月から開いている。

 かつて東京都内で訪問入浴介護をしていた柴崎さん。寝たきりの生活を余儀なくされた利用者宅に行くようになり、「食べ物は大切なもの」と考え始めるようになった。

 33歳の時、高知県土佐市に移り住むと、自宅前は一面のショウガ畑。農家から消毒の連絡が入ると慌てて家の窓を閉め、洗濯物も取り込んだ。当時の農薬の怖さを実感したという。

 その後、引っ越した高知市のチャレンジショップで2年間、無農薬で育てたケールと小松菜の生ジュースを販売した。郊外で自身のカフェを持ちたいと思うようになり、料理やケーキ教室にも通った。ハーブを勉強してコーディネーターと学習指導員の資格も取得した。

 生まれ育った寄居町に戻って6年目。寄居の生産者を巡るツアーに参加したのがきっかけで、手間のかかる有機栽培で頑張っている農家と野菜を応援し、地元の人にも広めていく「寄居オーガニックカウンシル」を2019年に立ち上げた。ホームぺージでも寄居を大切にしている暮らしや活動をしている人たちを紹介している。活動をしていくと「畑は周りの自然も大事、つながりがあることも分かった」と話す。

 毎月第3日曜日に実施していく家庭菜園講座が町内有機農家の畑で今月スタートする。野菜を育てて、家庭での野菜の自給率を高めたいという。野菜を栽培して加工施設も完備する古民家カフェの開業を目指し、準備も始まった。世界3大免疫植物の一つとされるハーブ「エキナセア」も栽培。顔の見えるつながりを広めたい。

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