埼玉新聞

 

一面真っ白「終わった」…白岡のナシ畑、間引き後の実に傷「全滅」 被害軽減の防ひょうネット破損も 

  • ひょうで傷が付いたナシの実=白岡市爪田ケ谷

 今月2、3日に県内で降ったひょうによる農産物などの被害総額が14日、明らかになった。過去最多となる38億4867万円に上り、対象自治体も15市7町と広範囲に及ぶ。被害に遭ったナシ農家は傷ついた実を手に「『終わった』と思った」と振り返り、防ひょうネットの修理費に頭を抱えた。

 3日の降ひょうで、白岡市では、特産のナシ農家の約4割に当たる60軒(栽培面積計約15ヘクタール)が被害に遭った。市農政課によると、防ひょうネットを張っておらず、ひょうによって実に傷が付いた。ネットを張っていた農家6軒についても、強風やひょうの重みでネットが損傷するなどの被害が出た。

 時期も災いした。ちょうど商品に適した実を残す「摘果」作業が終わった後で、売り物になる予定の実に傷が付いた。

 防ひょうネットは行政が補助金を出すが、なかなか普及が進まないという。いつ降るか分からないひょうに備えるためのネットを張る経費や手間を考え、二の足を踏む農家が多いとされる。

 爪田ケ谷地区でナシを栽培する大高雅史さん(47)はスマートフォンでひょうが降った後の写真をめくりながら、「周りは一面、ひょうで真っ白。子どもたちは驚いていたが、『終わった』と思った」と振り返った。

 「こっちは全滅です」。ネットを張っていなかった約500平方メートルのナシ畑で、手のひらに傷ついた実を載せた。ひょうの直撃を受け、売り物にならないという。

 ネットを張っていたナシ畑の方は、実の被害は避けられたが、ひょうの重みでネットを張るワイヤーが垂るみ、網の一部も破れた。修理に多額の費用がかかるとし「業者に頼むしかない」とうなだれた。

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