埼玉新聞

 

女子サッカーで活躍 ちふれのLGBTQ+アンバサダーは元女性 育ててくれた母親にも理解得られず 戸籍と名前を変え結婚、1児の父親に 18日、蕨で講演「私たちにはいろいろな形がある」

  • 「私たちにはいろいろな形がある」と話す、ちふれLGBTQ+アンバサダーの櫻木彩人さん

    「私たちにはいろいろな形がある」と話す、ちふれLGBTQ+アンバサダーの櫻木彩人さん=4日午後、蕨市役所

  • 「私たちにはいろいろな形がある」と話す、ちふれLGBTQ+アンバサダーの櫻木彩人さん

 東京都出身の櫻木彩人さん(37)は女子サッカー「ちふれASエルフェン埼玉」で活躍した元女性。現在は、ちふれグループのLGBTQ+アンバサダーを務めている。

 幼い頃から性別に違和感を覚えた。小学4年の時、仲良しの女の子との「お泊まり会」で、一緒に手をつないで寝た時のことを今も覚えている。

 兄の影響でサッカーを始め、小、中、高校とボールを追った。進学した川越市の尚美学園大では「インカレに出たい」との強い思いを持ち、同市内での1人暮らしも経験した。

 大学卒業後の生活には希望が見いだせなかった。「女性用スーツ、お化粧しての就職活動は難しい。教員を目指したが、自身が何者なのか分からない私が誰かを教えることなどできない」。履歴書の性別欄「男・女」の真ん中に丸を書いたこともあった。

 その後、海外留学などを経て2015年、ちふれASエルフェン埼玉に加入。ゴールキーパーとしてプレーした。

 29歳、「心配をかけたくない」との思いで母親に打ち明けたが、当時は理解が得られなかった。「一番伝えたかった、育ててくれた母親。嫌われたくなかった。そばにいてほしかった」。30歳、海外で性別適合手術を受け、帰国後、戸籍と名前を変えた。その後、結婚。1児の父親となった。

 18日午後2時から、蕨市立文化ホールくるるで「多様性を認め合う~誰もが生きやすい社会を目指して」と題し講演する。「理解するのは難しいと思う。でも、特別扱いせず、こういう人もいる、と、一人の人として尊重してほしい。私たちにはいろいろな形があることを伝えたい」

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