埼玉新聞

 

バラ300種見頃 里山の隠れた名所 埼玉・美里の個人宅で600株 夜間のライトアップも

  • 松川さん夫妻が育てたバラが今年も見頃を迎えた=10日、美里町下児玉

 知る人ぞ知る“秘密の花園”は、良い堆肥と豊富な井戸水、そして夫婦の愛情で作られていた!?

 美里町の造園業、松川正一さん(71)、道子さん(69)夫妻が毎年公開している自宅のバラ園が、今年も見頃を迎えた。木々に囲まれた里山の隠れた名所として、県内外から多くの来園者を集めている。関越道の寄居スマートインターチェンジ(IC)から直線で約4キロと交通の便もよく、東京や神奈川、千葉、栃木からの客も。今年は初めて夜間のライトアップにも挑戦し、正一さんは「ぜひナイトローズを楽しんでほしい」と心待ちにしている。

 松川さん夫妻は約400坪の敷地にバラ、クレマチスなどおよそ300種、600株を栽培。丹精を込めて育てたバラは赤、白、黄、紫、ピンクと色とりどりで、里山の澄んだ空気の中に、ほのかな甘い香りを漂わせている。

 8年ほど前、花好きの道子さんが自宅隣の畑にバラを植えたことが始まりで、毎年種類や面積を増やし、どんどん本格的に。今年はライトアップ以外にも、物置を立て替えて休憩所にしたほか、徒歩1分の場所に約40台分の駐車場を整備。休憩所は木の温もりを感じさせる造りで、さわやかな風が吹き抜ける。コーヒーやジュース、お菓子も提供しており、さながら自然に包まれたカフェのよう。

 美しいバラ園の源は、近くの牛舎から仕入れる堆肥と、地下からくみ上げる井戸水。良い堆肥がいつでも取り寄せられるとともに、井戸水を活用すれば莫大な水道代もかからない。道子さんは「木と葉が元気なのは堆肥と水のおかげ。それが命」と話す。

 そしてもう一つの秘訣は、おしどり夫妻の愛情。「どちらからいらしたんですか」「こちらがきれいですよ」。話好きで明るい道子さん、優しくおおらかな正一さんの絶妙なコンビで来園者にも気さくに接する。地元の口コミやSNSでも広まり、昨年は年間約2千人が訪れたという。

 「周りは静かだし、環境に恵まれてちょうどいい。美里の地域の名所にしていきたい」と道子さん。静かな里山へ、きれいなバラと楽しい夫妻に会いに出かけてみてはいかが?

 5、6月は無休で午前9時半~午後5時(夜間は午後6~9時)。入園料大人千円。飲み物・お菓子付き。見頃は6月中旬まで。

 問い合わせは、ローズガーデン令和美里園(電話090・4950・5591)へ。

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