埼玉新聞

 

ごみ放置や大声…利用客のマナー悪く閉鎖の飯能河原、マナー向上へ取り組み 機能するかGW中の状況を注視

  • 有料化を知らせる看板。奥のパラソルの下でごみを分別回収する=24日、飯能市の飯能河原

 新型コロナによる外出などの制限のかからない大型連休が始まった。感染防止対策やマナー向上を図ろうと、埼玉県の飯能市と奥むさし飯能観光協会は21日から、県、りそなグループの「地域デザインラボさいたま」と連携し、市内のレジャースポット「飯能河原」で有料化実証実験に取り組んでいる。近隣住民らが「マナーが向上して好循環が生まれれば」と期待する一方、豊かな自然を楽しみたい利用客からは「カラーコーンの仕切りは雰囲気が出ない」との声も。市は施策が機能するか連休中の状況を注視するとしている。

 飯能河原は都心からアクセスが良いこともあり、バーベキューやデイキャンプを楽しむ利用客からの人気が高い。市によると例年、年間10万人以上が訪れ、昨年の大型連休中は1日最大1200人が利用した。一方、昨年7月下旬にはマスクをしないで大声で騒いだり、バーベキューで発生したごみを放置するなどの問題が起きた。近隣住民などから密になる状況や一部の利用客のマナーの悪さを指摘され、市などは同8月から約2カ月間、河原を閉鎖した。

■カラーコーンの仕切り

 飯能河原近くでバーベキュー用の食材や炭などを取り扱う飲食店の女性(77)は昨年の騒動を受けて「飯能河原のイメージが悪くなってしまうことが心配」と懸念する。有料化によって利用客が減少することも想定されるが、「マナーが良くなることで近隣住民からも理解され、利用客も戻ってくる。好循環が生まれることを願っている」と期待を寄せた。

 有料化最初の日曜の24日は午後から雨が降る予報だったが、3組ほどが有料エリアでバーベキューを楽しんだ。家族で遊びに来ていたふじみ野市の男性会社員(43)は「自然環境を楽しみたくて来ているので、赤いカラーコーンで仕切られているのは雰囲気が出ない」と苦笑。それでも「有料化することで利用客のマナーの向上、モラルを持って楽しむことができれば」と理解を示した。

■バーベキューは50組

 実験は5月8日まで行われ、利用時間は午前9時~午後5時。夜間は河原への立ち入り自粛を求めている。大人1人千円、小学生以下無料の有料化によってバーベキューなどで火気を利用できるエリア(約3500平方メートル)を限定し、利用客は1日当たり50組(1組最大6人)まで。原則、事前予約制で奥むさし飯能観光協会のホームページ(HP)で受け付け、現地受付で料金を徴収し、利用客にはリストバンドを付けてもらい入場を管理する。また、ごみ袋を5枚配り、ごみの分別にも協力してもらう。

 エリア内は職員が巡回し、ルールを守れない利用者には改善を勧告し、改善が見られない場合は退場を求める。川遊びなど有料化エリア以外を利用する場合は無料。観光協会によると、5月1日、3~5日はすでに定員に達しており、予約受付を終了している。

 観光協会の古島照夫会長は「飯能河原は住宅地が近く、騒音や洗濯物に臭いがつくなど苦情も多かった。この問題を解決する一助として実証実験を行い、今後の河川利用について考えていきたい」と話している。

 実験は8日までだが、市観光・エコツーリズム推進課は「期間中の結果を踏まえて、有料化の継続や料金、手法などルールを検討していく」としている。

ツイート シェア シェア