埼玉新聞

 

渋沢栄一、ユーモアたっぷりの風刺画に 北沢楽天が描いた作品展示、さいたまの漫画会館で7月まで

 新1万円札の肖像画に深谷市出身の実業家渋沢栄一が用いられることを受け、さいたま市北区盆栽町の市立漫画会館は今月から、さいたま市ゆかりの近代漫画家北沢楽天(1876~1955年)が描いた渋沢の風刺画の展示を始めた。同館1階常設展示室で、北沢が明治時代に創刊した日本初のカラー漫画雑誌「東京パック」に掲載した作品3点を7月まで毎月1点、展示替えしながら紹介する。

 5月の作品は1909(明治42)年2月の東京パック5巻6号に掲載された、渋沢の明治時代の経済界での活躍を風刺で描いた「実業寺本尊千手観世音菩薩 渋沢青淵和尚作」。渋沢の背後から千手観音を思わせるさまざまな道具を持った手が何本も出ており、篩(ふるい)には「人選」、のこぎりには「分割」と記されるなど、渋沢があらゆる産業分野で活躍し、人々の尊敬の対象であったことをユーモアたっぷりに表現している。

 渋沢はかつて、埼玉県人会の会長を務めたことがあり、北沢は同会の会員。それが縁で28(昭和3)年8月には北沢が渋沢の似顔絵を描く機会もあり、その際の写真も残されている。

 同館は「埼玉ゆかりの新紙幣の顔である渋沢栄一と、さいたまゆかりの日本近代漫画の祖である北沢楽天を、作品を通じて知っていただければ」と来館を呼び掛けている。

 展示は7月31日までで、月曜日は休館(5月6日、7月15日は開館)。5月7日休館。入館無料。

 問い合わせは、同館(電話048・663・1541)へ。

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